ビジネス

2020.06.07

中国Eコマースの祭典「618」を見据えるアリババの動き

studioEAST/Getty Images

中国で11月11日の「独身の日」に次ぐEコマースの祭典として知られるのが「618」のセールだ。アリババに次ぐEコマース大手の「JD.com(京東)」の創業を祝う6月18日のイベントは2010年に始まり、今では多くの競合が参加する催しとなった。

JD.comや新興勢力の「拼多多(ピンドォドォ)」の追い上げに直面するアリババは、この日に向けた準備を進めている。ニューヨーク市場に上場するアリババの株価は今年に入り、5.6%の下落となっている。一方で、JD.comとピンドォドォの株価はそれぞれ44%と62%も上昇している。

アナリストらはアリババの売上の伸び悩みを指摘しているが、同社は618の売上で競合を圧倒したいと考えている。上海の調査企業Pacific Epochのアナリストは「競争は激化している」と話した。

アリババは5月中旬に、618のセールに向けて100億元(約1530億円)の割引きクーポンを用意すると宣言し、29日にはさらに追加で40億元を投じるとアナウンスした。同社は6月18日に100人近くのセレブが参加するライブイベントを開催する計画だ。

アリババが先週発表した今年の第1四半期の売上は、前年同期比22%プラスの161億ドルだった。同社は2020年通期の売上見通しを前年比27.5%増の910億ドルとしたが、これはアナリスト予想の923億ドルを若干下回った。

同社は新型コロナウイルスのパンデミックが中国経済にダメージを与えると予想し、通年の業績見通しを引き下げた。しかし、投資家たちが懸念するのは、同社を取り巻く競争環境の激化だ。

JD.comは直近の1年で利用者人口を25%拡大し、3億8740万人まで伸ばしており、今期の売上も予想を上回ると述べている。JD.comは自社の流通網を確保している点を強みとし、パンデミック以降に急速にオンライン売上を伸ばしている。

一方で、ピンドォドォは地方のユーザー向けに割安なアイテムを提供し、アリババを上回るペースで拡大を遂げたと深センの調査企業Blue Lotusのアナリストは話す。創業5年のピンドォドォの利用人口は、直近の1年間で42%増加し、6億2800万人に達している。
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編集=上田裕資

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