一方で台湾の主権を主張する中国で作られた製品に対しては低品質なイメージが強く、人気は低い。しかし、中国の大手スマホメーカーであるOPPOとシャオミは、台湾でもシェアを拡大させている。
IDCが発表した今年第1四半期の台湾におけるスマホメーカー別シェアを見ると、OPPOは7.9%と2015年の1.1%から急拡大している。シャオミも、2015年の1.4%から5.8%へと大きく伸ばしている。両社が地元の大手メーカーであるHTCやASUSTeKを四半期あたりの数値で上回るのは、今回が初めてだ。
出荷台数は、OPPOが10万6000台、シャオミが7万9000台だった。シャオミの広報担当者によると、同社は2014年から2019年にかけて台湾国内でウェアラブル端末を200万台販売し、台湾で最も人気の高いウェアラブルブランドの1つになったという。
両社が台湾で成功した要員は、中国企業であることをアピールせず、海外ブランドとして台湾の消費者に売り込んだことにあるようだ。同じ中国のスマホメーカーであるファーウェイとは異なり、OPPOもシャオミも、米政府と争う事態には至っていない。
「両ブランドとも国際的な認知度が高く、中国企業であることを強調する必要がない。テック系ニュースに疎い消費者であれば、メーカーの国籍よりもスペックや価格を重視する」とIDC台北支社のJoey Yenは話す。
OPPOは、自撮り機能の高さや充電速度の速さから、台湾では特に女性の間で人気が高く、ショッピングモールに華やかな店舗を構えている。一方、シャオミはコスパの高さから、台湾では男性に人気だ。例えば、シャオミのミッドレンジ端末「Redmi Note 8 Pro」の販売価格は約220ドルと、最近リリースされた端末としては格安だ。
シャオミはSNSマーケティングに成功
「台湾人に限らず、世界中の消費者はモノを購入する際に政治よりも製品の品質や価値を重視する。ただ、中国メーカーにとっては、中国政府と緊張関係にある国で製品を販売する際、自社の国籍を大々的に公表しない方が安全だ」と北京に本拠を置く調査会社Marbridge Consulting のMark Natkinは話す。
広東省東莞市に本拠を置くOPPOは、15年前からオフライン販売を強化するという独自路線を追求した結果、2016年にはスマホ出荷台数で世界トップ5入りを果たした。一方、10年前に北京で設立されたシャオミの時価総額は315億ドルに達している。
IDCが公表した2019年第4四半期の世界販売台数シェアでは、シャオミは3290万台で4位、OPPOは3070万台で5位となっていた。
シャオミの広報担当者は、「様々な価格帯の製品をそろえた柔軟な製品ポートフォリオと、リアル店舗を活用した効率的なオムニチャンネル戦略」が台湾での成功要因だと説明している。同社は、台湾の2大SNSであるLINEとフェイスブックを通じてマーケティング活動を展開している。シャオミによると、同社のフェイスブックページは、台湾の全スマホブランドの中で最もエンゲージメントが高いファンページの1つだという。