ビジネス

2020.06.05

カフェの次はパフェ。松本龍祐がコロナ禍での新ブランド展開を語る

カンカク代表取締役の松本龍祐


店舗とECで、オフラインとオンラインをつなげる


「前述した通り、新型コロナの影響はありましたが、その一方で新型コロナによってデジタル化のスピードが一気に加速したと思っています。社会全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むのは、企業にとってとてもポジティブなことなので、その波をうまく活かしていきたい。既存のお客さまが減ってしまったというネガティブな波はありますが、それによってデリバリーやテイクアウトを始めるなど、一気に飲食店の営業スタイルが変わったという点でとても価値のある流れでもあったと捉えています」



カンカクも変化の波を受け、6月1日から月額定額制のサブスクリプションデリバリーサービス「WEEKDAY COFFEEプラン」を開始している。これはTAILORED CAFEの2.0km圏内の先着30名様を対象に平日8:00〜10:00の時間帯限定でコーヒーをデリバリーするというもの。同時に通常メニューのデリバリー対応も配送エリアを拡大している。

「ホテルのルームサービスのように毎朝コーヒーが届いたら贅沢だし、自宅で美味しいコーヒーを飲んでオンとオフのスイッチが切り替わる体験を提供できたらいいな、と思ったんです。サブスクリプションのデリバリーについて、ビジネス的に採算が合うかは正直未知数です(笑)。ただ、これもインターネット的に撤退基準も決めた上でスモールスタートさせて、リモートで打ち合わせを重ねながら2週間くらいでリリースまで至りました」



具体的には、まず半径500mのエリアを対象に徒歩でコーヒーを届けてみて、オペレーションまわりをテストし、その後は自転車で運ぶ際のスタッフの保険を確認。インターネット的にデイリーのスタンドアップMTGで進捗確認をし、ウィークリーの全体ミーティングで意思決定するなど、スプリント形式で開発を進めていったという。

「実はこのサブスクデリバリーの発案者は僕ではなく、店舗で働くメンバーたちからのアイデアなんです。時短・減席での営業の中でもお客さまが足を運んでくださるのはありがたいけれど、この状況下で自分たちに何かできることはないか? そんな想いからデリバリーが案として生まれ、スプリントで開発を進めていきました。実際に店舗でお客さまと日々接しているからこそ見える機会がたくさんあって。今後もそういった形でメンバーから出てきたアイデアを形にしていけたらと思います」

緊急事態宣言が発令されていたときは、店舗で働くメンバーのためにマスクやアルコール消毒液の調達に自ら走り回ったり、「店舗の営業を続けるべきか葛藤したりした」という松本。ただ、今は“コロナ禍をチャンス”と捉え、今後も積極的に新しい取り組みを行っていくという。

「新型コロナによって、逆にチャンスが増えたと思っています。僕たちはサブスクリプションでの収益がベースにあるのが強みなので、そこを活かしていきたいですね。夏頃にはECオープンも予定しています。いかにオンラインとオフラインを繋げられるか、というところにフォーカスして取り組んでいけたらと考えています」

文=新國翔大 人物写真=小田駿一

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