明けない夜はない。再び人々が交流できる日が来たら、世界に出よう

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2016年、筆者は「Tazaki財団」を設立した。同財団では16歳の高校生を対象に5年間の英国留学にかかる費用(約4000万)を全額支援している。返済不要の奨学金として国内最高額。

なぜここまでグローバルリーダーの育成に投資するのか。それは、筆者自身が身をもってその大切さに気づいたからだ。1962年、19歳の頃単身渡英し、ケンブリッジ大学に進学。卒業後に英国で創業した人材紹介会社ジェイエイシーリクルートメントは、現在世界11カ国で事業展開するほど成長を遂げた。

この連載は、今後日本や世界を牽引する若者に向けて必要なことを、筆者の半生を振り返りながら綴る奮闘記だ。


11回にわたり書いたこのコラムも今回で最終回となりました。

現在、日本を含む多くの国の人々が新型コロナウイルスの試練に立ち向かっています。人々の交流や国内のみならず海外への移動も制限され、まだ終息の兆しが見えない状況です。

今は人々が本来持てるはずの権利や自由が毀損され、我慢と辛抱が求められています。しかし、明けない夜はないことを信じ、希望を捨てずに今私たちがやるべきことを徹底すること。そして再び人々が自由に交流し、世界中を行き来できる日に備えることが重要だと考えています。

読者の皆さんに最終回をお読みいただく前に、私と同じ想いを持ち共感いただければありがたく思います。

この連載の依頼をいただいた際、グローバルリーダーの明確な定義がない中、それはどのような人物であるべきかを私なりに考えた結果「多言語、多文化を理解し、何事にも臆することなく信念を持ち、世界中で人や事業を牽引していける人物」という結論に至りました。このグローバルリーダーとしての理想像のメッセージと、英国と日本に何かを還元したいという想いのエピソードを書き綴って来ましたが、読者の皆さんに楽しく読んでもらえたら何よりも嬉しいことです。

私の人生は、日本と英国への恩返しの旅路


私が辿ってきた人生は、私が叶えたいことを支援してくれた大勢の人たちへの恩返しの長い旅路であったともいえます。私を海外で事業を経営できるほどの人間に成長させてくれた英国と、日本人としての誇りを持たせてくれた日本にも何か恩返しをしたかった。それが、学校を創ることと、財団を立ち上げ日本の若者をグローバルリーダーとして育成する支援をすることを決めたきっかけです。


海外でも広い交流を持つ筆者 左:ケンブリッジ大卒業後に住居を共にした法廷弁護士の友人|右:ケンブリッジ大学時代の同級生―現在は大学教授

人のお金の使い方はさまざまですが、私にとってお金は普段食事ができて時々旅行ができる程度あれば十分。有効な活用法を考えた結果、日本の若者に「自由と規律」の理念に則った英国の教育機会を提供することにより、世界で活躍できるような人物になってもらうことが一番ふさわしい使い方であるという結論に至ったのです。
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