明けない夜はない。再び人々が交流できる日が来たら、世界に出よう

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将来の目標が立てられない若者の皆さんへ


私が渡英した1962年、思い描いていた英国は未知の国で、情報が少なかった頃だったからこそチャレンジしてみたかったのです。以来、時は何十年も過ぎ、テクノロジーの急速な発達によりスマートフォン一つで人々との交流だけでなく世界中の情報を瞬時に入手したり、何でもできると言っても過言ではないほど世の中は便利になりました。私が若い頃は、世の中がここまで便利になるとは想像すらできなかったことです。

近年、日本人の留学生の数が減少傾向にあることを残念に思います。世の中が便利になることは時代の趨勢でもあり、普通に考えれば進化していることなので良いことです。しかし、多くの若者の皆さんは住みやすい日本の環境や発達したテクノロジーの便利さに満足してしまい、海外に出ることの関心が薄くなってしまったのではないかと思うのです。中には、成熟した世の中で、将来何を目指していけば良いのかがわからないと思っている人たちも多いのではないでしょうか。

将来、何を目指していけば良いかがわからずに悩んでいる若者の皆さんに、ぜひ私からアドバイスをさせてください。

それは、海外に行くことです。旅行、留学、ワーキングホリデー、ボランティアなど、目的はなんでもいい。できるだけ多くの国を訪れ、その国の空気を吸い、その国の食事をし、人々や文化に触れ合い、異なる言語でコミュニケーションをする体験は、世の中がどんなに便利になってもその国に行かなければ絶対にできないことです。


筆者近影

しばらく海外に滞在した後に日本に帰ってくると、電車が時間通りに来る、水道水が安心して飲める、治安が良く夜間でも外出できるなど、海外にはないさまざまな日本の優れた点が当然のように生活の中に溶け込んでいることがわかります。それと同時に物事を見る視点が変わり、違う角度から日本と自分を見ることができるようになります。そのような些細な気づきから日本の良さを理解し、海外から日本を見る広い視野を持つ経験を重ねることで自分を客観視する能力が育まれ、新たに進む道が見えてくることもあるのです。
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