明けない夜はない。再び人々が交流できる日が来たら、世界に出よう

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日本の若者の英国留学を支援するために約4000万円という返済不要の奨学金を出すことを発表したことで、さまざまな反響が来ました。Tazaki財団の活動に関心を持ってくれた保護者の方々の中には「4000万円の返済不要の奨学金など、そんなうまい話があるわけがない」、「英国留学後はジェイエイシーリクルートメントに強制で入社させられるではないか」と疑心暗鬼になる方もいたほどです。

もちろん、奨学金は返済不要ですし、卒業後の進路を制約することはありません。自分の将来は自分で決めるもの。私は子供がいないのでこのようなことを言う資格はないかもしれませんが、たとえ親であれ子供の将来を束縛する権利などないと考えています。

英国での新型コロナウイルスの感染拡大により、Tazaki財団の奨学生であるパブリックスクールと英国大学に在学中の学生のほとんどは現在日本に一時帰国していますが、それぞれの環境に適応しながら勉学に励んでいます。

Tazaki財団は留学生のレポートを定期的にホームページに掲載していますが、それ以外にもさまざまな便りをもらっています。最近、英国に残っている留学生の一人から以下の便りがきたのでご紹介します。

「私がイギリスに残る理由として最も決定的となったのは、自分が何のためにイギリスに留学しに来たのかという根本的なところを振り返ってみたときでした。勉強だけをしにイギリスに来たわけではなく、人間として強くなりたいという意志を持って来たのだと。そしてこの大変な状況下でもイギリスに留まるということは一生に一度の貴重な経験となり、私をさらに強くしてくれるに違いないと感じました。こんなチャンスはなかなかないので、自分に選択の権利が与えられたことに感謝しています」。

この学生だけではなく、ほとんどの留学生から今回の状況に対し同じような意見や心構えを聞いています。今起こっている状況に対して自分で考え、そして立ち向かうというリーダーとしての素養を短い期間で身につけ始めたようです。留学生の皆と直接会えない中でもたくましく成長していることを知ることができ、この財団を設立して本当に良かったと思います。

ジェイエイシーリクルートメントの社員への感謝


学校を設立するという、一度は破れた夢を財団設立という別の形で叶えることができたのは、他ならぬジェイエイシーリクルートメントの社員の皆のおかげです。リーマンショックの苦しい時期を乗り越えて皆が一丸となり会社を成長させ、東証一部上場のグローバル企業として企業価値を向上させてくれたからこそ、私が保有する株式を基本資金として財団を立ち上げて留学生を英国に送り出すことができた。そして現在も、一部の社員は在宅勤務で仕事に取り組んでいます。この場を借りて、社員の皆に感謝の意を伝えさせてください。

そして、妻で会長の田崎ひろみ。世界11カ国に展開するジェイエイシーリクルートメントの経営を担う多忙な身でありながら、私がやりたいことを常に傍らで見守り、そして支援してくれた。彼女には感謝の言葉がみつからないほどです。


自宅にて、妻で会長の田崎ひろみと

私と田崎ひろみの後を継いでくれる次世代の経営者も育っている中、私は今、会社が永続的に成長するために一番大切な社員の皆が健康を維持して長く働いてくれるための取り組みや、真のグローバル企業として成長を続けるための武器となる社員の英語学習支援などに注力しています。

ジェイエイエシーリクルートメントは1975年の創業以来2020年に45周年を迎えましたが、グローバル人材紹介会社としてはまだ成長の途中。私が元気でいるうちは、私の知見を生かして、会社の成長のためにできる限りのことを尽くしていきたいと考えています。
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