やるな、と言わせる英文ビジネスメールのキモは「冠詞」にあり

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ここで a chocolate としてしまってもよさそうですが、チョコレートはいろいろな形状(箱入り、バラ、板チョコ)がありますから、やはりそれだけでは絵に描けなさそうです。

英語においては、a/antheなどの冠詞をつけてあげない限り、名詞(モノ/コト/ヒト)は『形がないもの』という積極的な意味を持つことになります。ここが大事なポイントです。

つまり、

My friend gave me chocolate.

→何人かわからない友達から、形も数も不明なチョコレートをもらった。

だと、「積極的に絵に描かないで欲しい」ことになるということです。これをドヤ顔で言われたら、聞いている人は頭の中がクエスチョンマークだらけになりますね。

同じように、「冷蔵庫から卵だしてくれる~?」と言いたい時に

Can you take egg out of refrigerator, please?

と言ってしまうと、「形がない卵を見えない冷蔵庫から出してくれる?」と聞こえていることになります。

「英語は冠詞がつくことで『服』を着る」という真実


本来、英語の名詞(モノ/コト/ヒト)は、それ自体は形がないので、それにa(an)、 the、~s(複数)または my、your、her、his などの「服」を着せてあげることで姿が見えるようになる、すなわち「絵が描けるようになる」、とお考え下さい。

a(an)theはそれぞれ違うタイプの「服」です。その定義は、

a(an):たくさんある中でどれでもいいから、その中のひとつ。

the:これじゃなければダメ。

すると必然的に、

a(an):今、初めて見たものでも、着たことのない服でもいいよ。こだわりなし。

the:着たことがあって、着心地を知ってる服じゃないと嫌だよ。

という条件も備わってきます。

この定義を土台にしてみると、

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絵:オールライトちえみ

I want to eat an apple. (世の中にはリンゴと呼ばれるものはたくさんあるけど、その中のどれでもいいからひとつね)

I want to eat the apple.(今話題にしている、あるいは目の前にある、そのリンゴね!━━実際には、some apple/some applesというオプションもあります)

I have to get a job.(まだどんなのか分からないけど、とにかく一つ)

I have to get the Job.(既に面接に行ったり、内定をもらったりしているもの)

と考えることができます。

This is a house I built. (私はたくさんの家を建てたことがあり、その中の一つ)

This is the house I built.(私は一軒しか家を建てていない)

※日本語では「これ、私が建てた家なんです」となりますが、英語だと上記のように、他にも建てた家があるのか、これだけなのかの情報がはっきりと分かるという点にもぜひご注目下さい。同じことを言っているようで実は日本語と英語では情報量が全く変わってきます。

Ken is a man you can talk to. (あなたが話せる人はKen以外にもいて、Kenはその中の一人)

Ken is the man you can talk to.(Ken以外にはあなたが話せる人はいない)

(※↑この例のように、名詞の後にその名詞の説明が続く場合は、theをつけなければならないと学校の教科書では習うと思いますが、aの場合も十分あり得ます)
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文=オールライトちえみ 構成=石井節子

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