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WESTLAND AMERICAN OAK

Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は5月号(3月25日発売)より、「ウエストランド アメリカン・オーク」をご紹介。ビール製造の技法を取り入れたシングルモルトだ。 


2018年に公開された映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』では英国の諜報機関キングスマンのピンチを同盟国である米国のステイツマンが救う様が描かれている。サヴィル・ロウで仕立てたスーツに身を包むキングスマンがスコッチを嗜むのに比して、ステイツマンはカウボーイブーツにデニムというスタイル。そして飲むのはもちろん……ケンタッキー産のバーボンだ。

英国といえばスコッチ、なかでもシングルモルト。アメリカといえばバーボンとは誰もが思い浮かべる定式なのだろうが、この「ウエストランド」はアメリカンシングルモルトウイスキーのフロンティアだ。

アメリカでシングルモルトとは意外だが、「ウエストランド」は10年以来、ワシントン州シアトルでシングルモルトウイスキーのみを生産してきた。

冷涼で雨の多いシアトルの気候はウイスキー造りに適している。が、「ウエストランド」が志すシングルモルトとは、単なるスコッチの模倣ではない。

まず、ワシントン州産の大麦で8割を構成する5種類の大麦麦芽を使用。モルトを焙煎し、ベルジャン・セゾン酵母を採用するなどビール製造の技法を取り入れたのも、クラフトビールの産地として知られるシアトルならでは。そのテロワールを充分に生かしたシングルモルトだと言えるだろう。

「ローステッドモルトは好ましい香ばしさを、そしてセゾン酵母はオレンジやチェリーなどを感じさせる華やかさを、またアメリカン・オークの新樽はほのかな甘みとスパイシーさを与えています。今日はタンドーリチキンを使ったハンバーガーと合わせましたが、全粒粉のバンズはモルトと相性がよく、クミン、チリ、カスリメティなどのスパイスはこのウイスキーの中の甘みを引き出します」と語ってくれたのは、いまスパイスに注目したモダンインディアンキュイジーヌが話題を呼んでいるバー「THE GREY ROOM」の川村康祐氏だ。

インドを旅立ち、NYやロンドンで注目されているモダンインディアン・キュイジーヌを、スコットランドを旅立ったアメリカンシングルモルトとともに、ここ東京で味わうとはなんと痛快なことだろう。

従来の伝統的なシングルモルトがアイラやスペイサイドなど地域性の象徴であるように、アメリカ北西部の風土を存分に感じることのできるシングルモルトだ。

WESTLAND AMERICAN OAK
容量 700ml
度数 46度
価格 7500円(税別参考小売価格)
問い合わせ 03-6441-3025(レミー コアントロー ジャパン)

photographs by Kenta Yoshizawa | text and edit by Miyako Akiyama

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