米国のコロナ給付、「総額30兆円」を1億6000万人に支払い完了

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米国のIRS(内国歳入庁)は過去2カ月間で1億5900万人を上回る米国人に現金給付を行い、支払い額の総額は2670億ドル(約29兆円)に及ぶことが6月3日に開示された資料で明らかになった。

IRSによると、そのうち1億2000万人が銀行振り込みで給付金を受け取り、3500万人が小切手の送付、400万人がデビットカードで支払いを受けていた。

シカゴ連邦準備銀行によると、資金に余裕の無い人々は給付金の3分の2を即座に支払いにあてており、今回の経済刺激策は初期の2週間で最大の効果をもたらしたという。

今回の給付金は、3月末にドナルド・トランプ大統領が署名した新型コロナウイルスのパンデミックに対応する総額2.2兆ドル規模の経済対策法案(CARES法)の一貫として配布された。

CARES法で定められた借金の返済猶予期間の延長や、失業保険の追加給付は7月末で期限切れを迎えるが、この制度をどのようにして延長するか、また、そもそも延長すべきかどうかについて議会は結論を出せていない。

民主党は5月に総額3兆ドルの追加経済策をまとめ下院を通過させたが、現状のプランで上位を通過させるのは極めて厳しい情勢となっている。

上院の共和党政策委員長を務めるロイ・ブラントは6月2日、追加の経済策の検討に入るのは7月以降になる見通しを示した。「私の個人的意見としては、8月に入るまでに何らかの措置を講じるべきだと考えている」と、CNNの取材に述べた。

共和党議員らは追加の経済刺激策を支持していないが、ホワイトハウスは前向きな態度を示していると伝えられている。

米国では新型コロナウイルスによる経済危機を受けて4000万人以上が失業保険を申請した。経済活動の停止によって、4月の失業率は14.7%まで急上昇した。

合衆国労働省は6月5日に、5月の失業率を発表する予定だが、専門家は5月の失業率が20%程度になると予測している。

編集=上田裕資

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