病院と患者をつなぎ、適切な医療体験を。20億円調達の医療スタートアップ「Ubie」が目指すもの

(左)Ubie共同代表の阿部吉倫(右)Ubie共同代表の久保恒太


医療のベストプラクティスとして諸外国に輸出したい


そして5月11日には、AI問診Ubieの拡張機能としてCOVID-19トリアージシステムを、全国の医療機関に提供開始している。このトリアージシステムは、来院前・来院直後・院内と患者の受診動線を漏らさず「3段がまえ」でCOVID-19疑い患者のトリアージを支援するものだ。回答に新型コロナウイルスに関連する症状が含まれている場合は事務や医師にアラートが送られる。それにより、感染疑いの患者を適切な別の医療機関に案内したり院内の個室に案内したりするなど、十分な感染対策を行うことで、院内感染リスクの低減を図るというものだ。



「新型コロナウイルスによって、医療の空洞化が発生し、それによって倒産する医療機関がたくさん出てくることだけは避けないといけない。1〜2年後に新型コロナウイルスが終息し、医療の需要レベルは平時に戻るのに、供給体制が下がっている状態では日本の医療が崩壊してしまいます。UbieはAI問診UbieとAI受診相談ユビーを通じて、医療の持続可能性を支援していければ、と考えています」(阿部)

今後、AI問診UbieはAI受診相談ユビーとの連携も強化していき、さらに医療機関のホームページなどを経由せずとも事前問診内容を共有可能にし、さらに漏らすことなく来院前の確認をサポートできるようにしていく、という。

「今までは医療機関向けにサービスを提供していましたが、AI受診相談ユビーと連携することで生活者の症状のデータを医療機関に送ることができる。今までは医療機関の健康データは電子カルテで、他の医療機関につなげなかったが、それを繋げて生活者がどこの病院に行っても過去の病歴がわかる世界観をつくれる。今後はそこにも着手したいです」(久保)

「高齢化率の高い国であるにもかかわらず、平時において圧倒的に高い平均寿命を誇っている。また医療の手術や治療の結果も、諸外国よりも比較的良い。あらためて日本の医療供給体制は素晴らしいものであると実感しています。さらにセーフティネットという観点でもフリーアクセスと国民皆保険でどの医療機関でも便利に受診できる。それが結果的に、欧米と比較して新型コロナウイルスの感染爆発を抑えられていると思うんです。私たちは事業を通じて日本の素晴らしい医療を守っていく、さらに下支えするソリューションを広めていき、それを医療のベストプラクティスとして諸外国に輸出していければ、と思っています」(阿部)

文=初見真奈 編集=新國翔大 人物写真=小田駿一

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