ハーバード大学で知り合ったライアン・サンドラーとイーサン・ウィンチェルらは2017年に、人事担当者の悩みを聞きつけた。個人の情報開示プロセスの大半は、電話やFAXなどのマニュアル作業で行われるため、非常に効率が悪い。彼らは元リンクトイン社員のビクター・カブデボンと共にその悩みを解決することにした。
3人は仕事を辞めて「トゥルーワーク(Truework)」という社名のスタートアップを設立した。同社は企業の人事管理システムと連携するプラグインを開発し、社員の個人情報の開示を自動化している。
トゥルーワークは5月中旬に、3000万ドル(約32億円)のシリーズB資金調達を完了した。今回のラウンドを主導したのはActivant Capitalで、既存出資元のセコイア・キャピタルやコースラベンチャーズも出資に参加した。さらに、個人投資家として元リンクトインCEOのジェフ・ウェイナーや、DocuSign創業者のトム・ゴンサーらも出資を行った。
「人々が部屋を借りたりローンを申し込む場合、承認に数日から1週間もかかる場合があるが、これはプロセスが自動化されていないからだ」と、トゥルーワークCEOのサンドラーは話す。彼は同社のCOOを務めるウィンチェルと共に昨年のフォーブスの「30アンダー30」に選出されていた。
企業の人事部門は給与データベースを、トゥルーワークのシステムに連携させておけば、外部から問い合わせがあった場合の対応を自動化できる。外部からの情報開示依頼は、各社員にEメールかSMSで送られ、承認するとトゥルーワークが情報を開示する。
もちろん、個人情報の取り扱いには慎重な配慮が求められる。トゥルーワークCEOのサンドラーは、同社のシステムでは情報開示の際に必ず本人の同意を求める点が強みだと話す。さらに、情報の正確さを確かめられるよう、透明性が維持出来る点もメリットだという。
「企業の人事担当者は、煩雑なマニュアル作業で時間を浪費しなくて済むし、社員たちのデータの正確性も保てる」とサンドラーは話した。
トゥルーワークのシステムは既に100社近くの大手企業と2万社近くの中小企業で採用されている。投資アドバイザリー企業のモトリーフールやオスカー・ヘルス、The College Boardなども同社のシステムを導入済みだ。
サンフランシスコ本拠のトゥルーワークは2019年のシリーズAで1200万ドルを調達し、その前年のシードラウンドでは300万ドルを調達していた。直近の3000万ドルを加えると、社員数50人の同社の累計資金調達額は4500万ドルに達している。