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ジョージ・フロイドのビデオで怒りに火がついた


「そして、ジョージ・フロイドの動画が出ました。手錠をかけられた黒人が地面に押さえつけられていた。そして、ただ彼を殺せたから殺した。あの警官はそれが問題にならないということは多分わかっていたはずです」

警察官のデレク・ショーヴァンが平然とジョージ・フロイドの首や背中の辺りを地面に押さえつけて殺害をしたという事実から、ノアはこのように語る。

「ここで見えてきた唯一の希望の光は、多くの人々が、それを見てすぐに非難していたことです。こんな動画は初めて見ました。アメリカでは、警察の暴行の動画がこんなに公に出回っていくのは見たことがないんです」

この発言から警察による暴力的な動画は、公に出にくい現実が読み取れる。だが、今回のことで事態は変化した。

「アメリカ中のメディア、国中の警察の署長たちさえも、文句なしでこの動画を批判したんです。1人の人間が、カメラの前で殺されたということに対して『これはおかしい。ここで起こっていることは明らかに間違っている』 と」


実際にGeorge Floydが亡くなる瞬間を収めた映像 / The New York Times

SNSの反応、「社会」の契約を考える


「こうして、あらゆることが積み重なって、暴動が起こりました。その中で、興味深いと思ったことがあります。オンラインで多くの人々が暴動に対して、不愉快だ、こんな風な社会であるべきではない。社会を荒らすのは間違っている、といった反応をとっていたことです。そのとき、私の中でなにかが腑に落ちなかったんです。 『社会』ってなんだろうと思ったんですね」

ノアは、社会は、本質的に考えると「契約(約束)」で成り立っていると述べている。

「社会というのは、目に見える規則、そして暗黙の了解も含めて、このグループの人の中では、共通のルール、価値観、慣習をみんなで守ろう、というものではないでしょうか。グループとして何かを守る必要があるのです。だから僕は、社会がある種の契約だと思うんです。そこで、アメリカ、ミネアポリス、ミネソタとかどこでもいいですが、生きづらい場所で暮らしている黒人の視点で考えてみて、この質問を自分にしてみてください。彼らはその契約を維持するに値するような『特権』を与えられてきたのでしょうか?」

しばしば、アメリカ社会において、白人でいることは、目に見えない 「特権」であると表される。すなわち、社会のルールや法律を守るのに値するような、白人と同等の扱いを、アフリカ系アメリカ人は受けているのか、ということに疑問を投げかけているのだ。

「多くの人が 『暴動を起こすことはなんの意味があるのか』と主張しています。しかし、暴動を起こさないことによってどうなるのかということは、考えたことがあるでしょうか」

文=初見 真菜

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