地震保険だけでは不十分? 被災した家を「再建できる」備えはどう選ぶか

manusapon kasosod/Getty Images

地震は、必ずやってくる。それも、忘れたころに、思いもよらぬところで。筆者の出身地である神戸市も、祖母の代から大きな地震は無い土地柄だったが、それでも1995年の阪神・淡路大震災で被災した。

いつか起きるといわれている南海トラフ地震や首都直下型地震だけでなく、いまや日本中どこで地震が起きてもおかしくないことは、皆が薄々気づいているのではないだろうか。

4つのプレートの境界線上に乗っている日本列島に住む限りは、地震は想定内のリスクと思って、前向きに取り組んでおいたほうがいい。

地震で家が全損となっても家を建て直せる保険のかけ方について、今回は触れてみたい。

地震被害時の公的カバーは手薄い


今回の新型コロナウイルスに限らず、思わぬ災害で被害を受けて暮らしに困ったとき、「国や自治体がなんとかしてくれるのではないか」と、とかく思いがちだ。だが、東日本大震災や熊本地震、阪神・淡路大震災といった大きな震災を振り返ってみても、実際に差しのべられた救いの手は心細いものであった。

阪神・淡路大震災といえば、阪神高速が横倒しになった映像を思い起こす人も多いかもしれない。あの場所と同じ東灘区にかつて住んでいたが、震災当時に国からもらえるお金はほぼ皆無だった。支援制度の主なものは融資ばかりで、いつかは返済しなければならない類のものだ。義援金も1戸あたり数十万円程度で、震災後に生活再建できない人も少なくなかった。

「被災者生活再建支援法からの給付金があるのでは?」と思う人もいるかもしれないが、阪神・淡路大震災の当時はまだ存在していなかった制度だ。被災者に対する必要最小限のセーフティネットの必要性が強く叫ばれて、返済不要で給付されるお金として「被災者生活再建支援制度」ができたのは1999年のことだ。当初は、生活再建支援に最高100万円までという内容でスタートした。

その後、法改正を受けて、現在の枠組みに落ち着いた。住宅の被害の程度に応じて支給する「基礎支援金」と、住宅の再建方法に応じて支給する「加算支援金」の2つの給付金があり、最大300万円を受け取ることができるようになったのだ。

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筆者が作成
*「解体世帯」とは、住宅が「半壊」または「大規模半壊」の罹災証明を受け、あるいは住宅の敷地に被害が生じるなどして、そのままにしておくと非常に危険であったり、修理するにはあまりにも高い費用がかかるため、これらの住宅を解体した場合。
*加算支援金(賃貸)は、家賃負担を伴わない公営住宅、民間借上げ住宅、仮設住宅への入居は対象外。

とはいえ、対象となるのは、全壊または大規模半壊の被害を受けた世帯のほか、住宅が半壊の被害を受け、または敷地の被害が認められ、住宅に倒壊の恐れがあるなどやむをえない事由により自宅を解体した世帯に対してだ。一部損ではまったくお金を受け取れないし、半壊以上の大きな損害を受けても、受け取れるのが最大で300万円というのでは、暮らしの立て直しもおぼつかない。
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文・図=竹下さくら

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