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ニューヨーク在住ジャーナリスト / NYC-based Journalist


世界経済はこう変わる


──3月19日付論文「Containing the economic nationalist virus through global coordination」(「国際協調で経済国家主義者のウイルスを封じ込める」)の中で、経済国家主義を批判していますね。

経済国家主義は買いだめ同様、誰もが自分のことしか考えないというパニック反応でしかない。平時の経済国家主義は悪い政策を生み、透明性に欠け、腐敗しやすく、非効率になりがちだ。経済国家主義者の政治家が危機と国民の恐怖心を利用すると、経済回復の足を引っ張る。

前出の論文は(米ピーターソン国際経済研究所が)20カ国・地域(G20)向けに出したものだが、先進国が足並みをそろえて同じ方向に進めば、単独ではできないことも可能になる。最貧国への債務免除やワクチン開発への共同投資、医学研究の意見交換・人的交流、開かれた食料貿易、過剰なドル高対応などが挙げられる。世界経済の流動性を増やすべく、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)を拡大するのも一手だ。

どれも、コストがゼロに近い。自力で危機に取り組むよりも協調するほうが、よりよい結果が出る。

──コロナ危機の影響は一過性なのでしょうか。あなたは前出の番組で、「生物学をコントロールできれば、経済回復が始まる」と話しています。

検査や接触者追跡の充実、効果的な治療法などにより、人々がリスクの中身を理解し、順応できるようになれば、危機が沈静化し、状況が安定する。経済回復が始まるのは、そのときだ。内戦が続く国で、人々がそれに慣れ、安全保障上の脅威と共生しているのと同じだ。

一方、失業や投資の中断、感染を恐れる人々のことを考えると、V字回復は無理だ。観光業やレストランなど、永続的な変化を迫られる業界もある。

──危機が1年以上長期化すると、米国経済・社会に構造的変化が起こると思いますか。

そう思う。金融危機後の米国を見れば、わかる。貯蓄が増え、若者は親元からの独立や結婚、住宅購入を先延ばしした。人々は失業を恐れ、賃上げ交渉や転職のための引っ越しにも二の足を踏むようになった。こうした状況は何年も続いた。コロナ危機で、人々のリスク回避が進み、こうした傾向に拍車がかかるだろう。

消費者の好みが変わるのも明らかだ。レストランや娯楽、旅行などの業界がどこまで盛り返すのかは不明だ。また、「ギグワーカー」のように単発の仕事を請け負う人が急増し、(医療保険などの)保障もない不安定な仕事に就く人が増えるだろう。

インタビュー=肥田美佐子 イラストレーション=ポール・ライディン

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