ミーティングの最中
・相手と打ち解ける
人間関係はピッチにおいて非常に重要であるにもかかわらず、以前から過小評価されている要素の1つです。投資家も人です。他の人と同じように、私たち投資家は良好な人間関係を築いている相手や、カリスマ性を持った相手に心を動かされます。ビデオ会議では個人の印象がだいぶ希薄になり、以前と同じ熱量で何かを伝えるのがずっと難しくなります。
さらに、オンラインでは雑談などを省いて本題に真っ先に入ってしまう傾向があります。効率的なようですが、実際は逆効果です。もしカジュアルな会話のきっかけを探すのが大変だというなら、事前にリサーチをしましょう。ピッチの相手と打ち解けた雰囲気になれれば、より前向きに話を聞いてもらえるようになります。
・プレゼンの途中にQ&Aの時間を作る
直接会うミーティングの場合、相手の表情から「否定」や「困惑」、「退屈」などの感情をはるかに簡単に読み取ることができます。そのため、相手の感情の変化に気が付いたら、すぐにプレゼンの流れを変えたり、質問があるかどうか単刀直入に尋ねたりすることができます。
しかし、オンラインでは相手からそのようなヒントを読み取ることがずっと難しくなります。今の表情は、相手があなたの会社のマーケットについて誤解している部分があるからでしょうか?それともただ単にインターネット接続が不安定であなたの発言が聞き取れなかったのでしょうか?質問や感情が宙ぶらりんのままでは、相手があなたへの投資を十分に検討する前に見送ってしまうようなことになりかねません。
このような事態を回避する方法の1つは、プレゼンをいくつかのセクションに分割し、その間にQ&Aの時間を作ることです。相手に質問や気になることがある場合、すぐにそれらに対処できます。特に何もない場合、そのまま次のセクションに進めば良いのです。ただし、この方法を使う場合は、時間配分に気をつけてください。質疑応答に時間をかけすぎてプレゼンの要点を伝えられなかったということは避けたいです。相手の質問への答えがプレゼンに後から出てくる場合、シンプルにそう伝えると良いでしょう。
・デモを見せる(可能なら)
ピッチにデモを加えるのは常に効果的な方法です。ほとんどの場合、画面を共有することで相手にデモを見せることができます。しかし、画面共有では時々トラブルが発生するので、そのような場合に備えて別の方法を用意しておくべきでしょう。代替案として最も効果的なのが、デモ動画をあらかじめ用意しておいて、その動画へのリンクを相手にシェアする方法です。もしあなたの会社のプロダクトがソフトウェア系なら、これはZoomを使えば簡単に用意できます。1人でZoomミーティングを開き、画面を共有し、そのプロダクトを自分が使っている様子を録画すれば、デモ動画の出来上がりです。
新型コロナウイルスはいずれ収束しますが、ミーティングの多くは収束後もオンラインで行われるようになると私は予想しています。個人的には、初回のミーティングはビデオ会議でも問題ないと感じています。同じような意見の投資家は多いのではないでしょうか。
このような可能性を踏まえて、起業家たちは資金調達の可能性を最大限に高めるために、今の新しいピッチの仕方に慣れていく必要があります。パラダイムシフトが起こるときには、それに伴い新しいベストプラクティスが生まれるものなのです。その多くはこれから少しずつ発見されていくのでしょうが、私が早い段階で気づいたものをいくつか上に述べました。
連載:VCのインサイト
過去記事はこちら>>