イノベーションの舞台裏

メンズメイク。この言葉をよく聞くようになったのはいつからだろうか。

僕はこの春、新規事業としてメンズメイクブランド「MULC(ムルク)」を立ち上げた。5月8日に「Makuake」にて先行販売を開始したBBクリームは、2日で目標金額を達成することができた。

僕がメンズメイクブランドの立ち上げを構想し始めたのは2019年の4月。その頃は「メンズもメイクする人って増えてるの?」とよく言われた。僕自身、正直実感はあまりなかった。

しかし、同4月下旬に「THREE」を手がけるACROが、メンズ総合コスメブランド「ファイブイズム バイ スリー(FIVEISM × THREE)」から、一般社団法人日本記念日協会を通じて、5月5日を“メンズメイクアップの日”と制定した。この記念日の制定を皮切りに、「メンズメイク」は新しい市場として認知され始めたと思う。

メンズメイクの市場規模はまだ小さく、メンズコスメ全体の市場規模(約1200億円)の市場規模の20分の1ほどで、大半はスキンケアやヘアケアが占めていると言われている。

そうした状況の中で、僕はあえてメンズメイク市場で事業を展開することを選んだ。それは、僕はこの市場がまだまだ伸びると思い、大きな可能性を感じたからだ。


メンズメイクブランド「MULC(ムルク)」を立ち上げた、香美 惇

メンズメイクに着目した理由


僕がこの市場に着目したきっかけは「婚活・恋活男性」の声だった。「MULC」事業に先行して、マッチングアプリ専門のプロフィール写真撮影する「Photojoy」という事業を展開していたのだが、そのサービスを利用する「婚活・恋活男性」に対して、撮影の前にナチュラルに青ひげやクマやニキビ跡などをカバーするようにメイクをしてあげるプランを提供した際、とても多くの反響があったのだ。

実際に撮影に参加してみると、男性もメイクで自分のコンプレックスがカバーできたことで自信がつき、とてもいい表情の写真が撮れた。もともと街コンの司会・進行を務めた経験から、男性のためになるサービスやプロダクトを作りたいという思いがあったので、もっとメンズメイクを広げることで、女性に堂々とアプローチできる男性が増えるのではないか。どうせやるなら、自分が商品を作ってみたい。と思い、化粧品の開発に踏み切った。

商品開発にあたり、様々な人にヒアリングしてみると、男性は、顔を華やかにするメイクではなく、どちらかというと自分のコンプレックスをカバーするようなメイクの需要が高く、メイクをしている多くの男性が、メイクをケアだと認識しているということがわかった。

その他にもリサーチを重ねた結果、ケアとしてメイクをしている男性の多くが、人前に立つ機会が他の人より多く、自分の容姿を整えることによって間接的に利益がもたらされる人たちだということもわかった。例えば、営業・接客業の方、就活生、経営者、モデルや俳優の方などがそれに当たる。中にはYoutubeの撮影時にはメイクするという方もおり、SNSが普及している現代において、メイクの需要は今後さらに高まるだろうと感じた。

編集=新國翔大

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