また、中国ではメンズメイク商品の売上が大きく伸びている。1995年以降に生まれた男性の5人に1人はBBクリームと色つきリップを使用し、10人に1人程度は眉毛を書いていると言われている。
こうしたリサーチ結果を踏まえ、MULCでは肌と眉毛をケアする商品を提供することにした。ニキビ跡や青ひげが気になる人が、肌をキレイに見せることができるBBクリームと、眉毛が薄い人が、顔をしっかりとした印象にできるアイブロウペンシルだ。どちらも男性ならではの体質や肌質、生活習慣や使用シーンを考慮して開発している。
コロナが後押しするニューリテール
さらに、新型コロナウイルスの流行によって、これまでの常識が変わろうとしている。
現在化粧品のEC化率(※)は、(経済産業省のデータには化粧品業界で独立したものがないため化粧品・医薬品合算の数値にはなるが、)わずか5.8%となっている。全体でたった5~6%前後しかEC化が進んでいないということは、約95%はEC以外で買われるのが化粧品というカテゴリなのだ。
※EC化率とは店頭(オフライン)やオンライン、電話やFAX、対面販売等も含めたすべての商取引金額(商取引市場規模)に対するEC市場規模の割合のこと。
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しかし新型コロナウイルスの流行に伴い、これまで店頭で美容部員さんがお客さんに化粧をほどこすタッチアップを自粛するブランドも増えている。ポストコロナにおいて、化粧品においてもオンラインでの購入が今後増えるだろう。しかし、ただECページを準備しているだけでは、おそらくEC化率は上昇しない。
EC化率が低かった化粧品領域だからこそ、これまでリアルでできていた体験をいかにオンラインで代替できるかが間違いなく重要になってくると思われる。ここでの体験とは、例えば化粧品を利用したあとのサクセスイメージを示すことであったり、化粧品を持つことによって得られる自己充足感を想像させたり、販売員との会話の中で生まれる安心感などである。こうしたオンラインにおいての体験構築がニューリテールでキーになってくると僕は思っている。