withコロナ時代におけるDXの必要性とブロックチェーン技術の重要性

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この時流は、既存の商慣習にもとづいてビジネスを行う事業者にとっては強烈な逆風ですが、デジタル空間を今まで以上に有効活用しようとするテクノロジー産業には追い風でもあります。

特に、これまで「なんとなく大変そう」「みんながやっていないから今やらなくてもいい」とされてきた分野のDXについては、議論が大いに活性化しています。

例えば、契約書の取り交わしや押印処理などのバックオフィス業務を実施するために出勤を余儀なくされている状況を指す「はんこ出勤」の問題を解決する電子署名・電子契約に注目が集まっています。

その一方で、全国民に付与されているマイナンバーがあったところで、給付までにタイムラグが生じたり、事務処理を担う公務員の方々が「密」な職場で対応しなければならない状況は、今後のDXをめぐる議論において注視すべきポイントが隠れています。

そのポイントとは「物理的に空間を共有できない」という新しいルールと、「デジタル空間をフル活用しよう」という構想の間に、実際のところ大きなギャップがあるということです。

デジタル空間でいかに信頼を築き合意を形成するか


デジタル空間を有効活用していく際にボトルネックとなるポイントは、「デジタル空間でいかに他者と信頼して合意を形成するか」という問題です。

経済活動の基本となるのは信頼関係です。私たちの社会は協業体制によって個々の生産性を高めることによって維持・運営されています。この協業体制を維持し続けるためには他人と信頼関係を築くことが不可欠です。事実、ビジネスプロセスはデューデリジェンスやリコンサイルなど、他社の信頼や他社との合意内容を確認する作業で溢れており、重要な取引であればあるほどそのコストは増大します。


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先の給付金手続きに関しても、お金の市民の個人情報を扱う重要な手続きであるために、確からしさを担保するため申請内容と住民基本台帳とを目視で突合する作業が生じざるを得ず、地方公共団体の大きな負担となっているという実情があります。これをデジタル空間で完結させるためには、確からしさを担保する仕組みが必要になります。
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文=森川夢佑斗

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