卒業シーズンのアメリカ プロムもカレッジツアーもバーチャルで

バーチャル卒業パーティーの様子(Getty Images)


オバマ前大統領は10分程度の卒業生に贈るメッセージを流し、これがあっという間にアメリカ中に広がり、卒業生の間でとても好意的に受け止められている。

さらに、高校生が自分で、もしくは親が運転する車に乗り、プロムの代わりにマイカーで行列をつくってパレードをするという姿も全米各所で見られた。車に乗っていれば距離は保てるので、そうして街頭の人々が祝いの言葉をかけているのは、なかなか心温まる光景だ。沿道では、送る側の生徒や父兄が(距離を保って)拍手を浴びせるのだが、これが実に数キロに及ぶ長さだ。

大学を選ぶカレッジツアーもネットで


一方、高校を卒業すると、大学入学までの2カ月間強、多くの卒業生たちはアルバイトをして小遣いを稼ぐのだが、この失業率が高まっているなかで、なかなかその機会も得られない。

また、夏休み期間中は、カレッジツアーといって、来年卒業して大学に入学する予定のハイスクールの学生たちと親が、アメリカ中のキャンパスを歩いて回り、願書をどこに送るかという判断の基準にしていくのだが、この状況下では、それもほぼ無理だと言われている。

学生たちは自分が入る大学を実際に下見することなく、インターネットにあふれる学校案内の視覚資料だけで決めていかなければならないことになる。在学中の大学生たちが、自分たちの大学の良さをアピールする動画をユーチューブに上げるなどして、母校愛を発揮している。それが参考になっているとも聞く。

親の立場からすれば、自分たちがやってきたことを子供たちができないという事実はまことに悔しい。日本でも甲子園の夏の高校野球が中止になるなど、世界中の若い人たちがそれぞれに辛い思いをしているが、ぜひこの地球規模の困難に負けず、新しい未来を切り拓いていってほしい。

文=長野慶太

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