ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

バーチャル卒業パーティーの様子(Getty Images)

学年度のスケジュールが日本と違うアメリカは、5月が卒業のシーズンだった。このコロナ禍にあって、今年も多くのハイスクールの学生が卒業式を迎えた。といっても、リアルで集まるわけにはいかず、気の毒だが、この人生の節目をバーチャルで過ごすことになった。

アメリカ人にとってハイスクールの卒業式は特別なものだ。普段は、私立でもなければ制服はないため、全員が同じガウンとハットを着用して臨む式典は、まさに連帯感を高め合う貴重な時間であり、保護者もこの日ばかりは仕事を休んで夫婦で参加する。

式典では、卒業生徒数がどんなに多くても、1人1人が名前を呼ばれ、校長から卒業証書を受け取る。そして、その様子をカメラマンが写真撮影してくれる。多くの生徒は、これを機に故郷を離れるため、この写真こそが自分と郷土をつなぐ貴重な思い出になっている。

アメリカの卒業式と言えば「プロム」


この時期の夜、フォーマルスタイルで学校に集まり、ダンスパーティーで盛り上がる習慣は長い伝統だ。いわゆる「プロム」といって、このカジュアル衣料全盛の時代でも、男子はタキシード、女子は肩を露出したドレスをわざわざ購入する。

時代の流れのなかで、ダンスのあとに飲酒や不適切な交際があることが問題視されたり、あるいはクイーンコンテストなど見かけで人を判断するイベントが非難されたり、そんな多くの批判があっても、それぞれの世代がプロムこそ青春の最大のイベントと考えており、親たちもボランティアで会場整理を手伝うなどして支援をする。

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「プリティ・イン・ピンク 恋人たちの街角」など、プロムを舞台にした映画も数多く撮られてきた。

しかし、新型コロナウイルスの渦中で、卒業式もプロムもできなくなってしまったので、さすがアメリカはこういうときに独創性を発揮し、さまざまなバーチャル卒業パーティーが行われた。

各家庭は、自宅のなかを、たくさん飾りものや風船でちりばめ、パーティー感覚を演出する。さらに家の前庭に、自分の息子が「〇〇高校を卒業します!」という看板を掲げる。すると、それを見かけたクルマが、その家の前を通る時にクラクションを鳴らすなどして祝意を示す。

また、学生はガウンを着た自分を撮影したビデオメッセージを学校に送り、学校がそれを取りまとめて編集すると、なかなか楽しそうな卒業メッセージの交換の場になる。

文=長野慶太

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