DeepView 24という名前のこの潜水艦は最大24人が乗船可能で、南シナ海に浮かぶホントレ島で運行される。ビングループによると、潜水艦の窓からは海中の景色をパノラマビューで楽しめるという。同社はチケットの予定価格を開示していないが、他の国の観光用潜水艦の乗船料は1人あたり100ドルから150ドル程度となっている。
これはベトナムにおける1カ月の最低賃金とほぼ同等の金額だ。
ビングループの会長を務めるのはベトナムのトップの富豪のファム・ニャット・ブオン(Pham Nhat Vuong)だ。同グループは不動産、ホテル・リゾート開発、遊園地事業、小売業などの多角的事業を展開し、傘下には自動車メーカーの「ビンファスト」や、スマホブランドの「Vスマート」もある。
ビングループの2018年の売上は122兆ドン(約5380億円)で、利益は6.2兆ドンだった。同グループはリゾートホテルチェーンのビンパール (VinPearl)を運営しており、43カ所の施設の客室数は1万7000室に達している。今回の潜水艦はビンパールのリゾートで運行される。
ベトナムの観光施設は今月から営業再開を進めており、首都ハノイの観光地も営業を再開している。ベトナムでの新型コロナウイルス感染者数は5月22日時点で324人で、死者はゼロにとどまっている。しかし、国境は閉じられたままで、ほとんどの国からの観光客の立ち入りは禁止されている。
フィンランドの潜水艦メーカーMobimarの試算によると、世界では30隻以上の観光潜水艦が運行中で、年間の観光客数は約100万人に及んでいる。
「自然ドキュメンタリー番組の『ブループラネット』などのヒットを受けて、水中観光の人気は近年高まっている」と、トリトン・サブマリンは声明で述べている。