佐藤氏に、「外販化」で話題を呼ぶリアル店舗、「Amazon Go」が誇る「アマゾン ジャストウォークアウト・テクノロジー」を解説してもらった(以下動画でも)。
世界がコロナ禍で覆われる少し前の2020年3月11日、アマゾンが新たなサービスの提供を発表した。それは消費者の購買行動を大きく変えるだけでなく、リアル店舗の在り方を劇的に変えてしまうかもしれない技術だった。
それをアマゾンは「Amazon Just Walk Out Technology(アマゾン ジャストウォークアウト・テクノロジー)」と命名した。直訳すると「立ち去るだけ(の技術)」となるが、そもそもお客様に店に来てもらうことに注力すべき小売店に、「立ち去るため」の技術を提供するとは一体どういうことなのだろうか。
実はこの「ジャスト・ウォークアウト・テクノロジー」とは、アマゾンが数年にわたって実証実験を繰り返し、確立した新技術の名称である。その技術はアマゾンが現在全米で展開中の「Amazon Go」というリアル店舗で体験できる。
「レジなし店舗」で頭抜けた存在
「Amazon Go」。端的に言えば、「レジのない店舗」である。
昨年来、日本でも多くのレジなし店舗の実証実験が報道されてきた。長く続く人手不足や深夜の労働力不足でコンビニやスーパーなどが苦しい運営を強いられる中、その問題解決の救世主か、と期待を込められて紹介されてきた。しかしながら、どの技術も市場をリードするほどのインパクトには欠けるし、本当の意味で「実用的なシステム」とは言い切れない。
一方この「Amazon Go」は、アマゾン本社に隣接する形で、すでに数年にわたって店舗を維持。社員のみならず一般のユーザーにも解放し、多くの実証実験を重ねてきている。私自身も昨年、一昨年とシアトルに訪問した際に実際に店舗を訪れ、その技術に触れてきた(ジェフ・ベゾスが「アイスベアの骨格標本」に秘めた決意|シアトルイノベーションツアー第3回 参照)。
その率直な感想は、十分に技術として成立しており、いつでも多店舗展開できるレベルの技術に昇華されている、だった。