マーク・ザッカーバーグは5月29日、大統領がミネアポリスでの抗議行動の発生を受け「軍隊に略奪犯らを銃撃させる」と脅した後も、その投稿を放置している理由を説明した。
ミネアポリスでは25日、黒人男性のジョージ・フロイド(46)が白人警官によって殺害されたのを受けて、暴力的な抗議活動が始まった。
トランプはツイッターとフェイスブック、インスタグラムに同一のメッセージを投稿し、「ならず者たちがジョージ・フロイドの名誉を傷つけようとしており、私はこれを許さない。さきほどティム・ワルツ州知事に軍隊を向かわせると伝えた。困難があっても治安は維持する。略奪が始まれば、射撃が始まる」と述べた。
ツイッターはこの投稿に「暴力を賛美する内容」との警告をかぶせ、クリックしないと表示されないようにしたが、投稿自体はそのままにした。
一方で、フェイスブックは同社及び傘下のインスタグラムへのトランプの投稿を放置しており、ザッカーバーグは29日のブログでその理由を説明した。「私個人はこのような扇動的発言には反対だが、言論の自由を保証するプラットフォームのリーダーとしてこの決定を行った」と彼は述べた。
ザッカーバーグは以前、フェイスブックは「暴力行為を扇動するものや、他人にただちに危害を与えるコンテンツ」を容認しないと述べていた。しかし、トランプの投稿を放置したのは、「政府が兵力を行使する計画をしているのかどうかを、人々は知る必要があると考えるからだ」と説明した。
28日のCNBCのインタビューで彼は、フェイスブックが外部のファクトチェック機関に査察を依頼することがあるが、「それは、最悪の事態を呼び起こすコンテンツに限られる」と述べた。さらに、「政治的な議論については、以前から私が主張するように異なる基準を当てはめる必要がある」と述べた。
トランプは28日、ソーシャルメディア事業者に認められている法的保護の一部を廃止する大統領令に署名した。これにより当局は、フェイスブックやツイッターなどの企業に対し、投稿内容の規制方法をめぐって法的責任を問えるようになるが、この大統領令に対しては、訴訟が起こされると見込まれている。
トランプの動きは、ツイッターが彼の「郵送による投票は不正選挙につながる」と主張する投稿にファクトチェックへの誘導リンクをつけ、彼の発言を否定する専門家の見解が書かれた記事に誘導したのを受けてのものだ。
ザッカーバーグはツイッターの措置を非難し、28日のFOXニュースのインタビューで「私企業が真実の裁定者になるべきではない」と発言した。