ウェブサイト構築支援Gatsbyが評価額200億円を突破、Wix追撃へ

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新型コロナウイルスのパンデミックは、あらゆる業種にオンラインでのプレゼンスを高めるように圧力をかけたが、このトレンドに乗った新興のスタートアップ企業が、有力VCから企業価値2億ドル(約217億円)以上の評価を受け、スクエアスペース(Squarespace)やWixなどの大手を脅かそうとしている。

カリフォルニア州バークレー本拠の「Gatsby」は昨年、ウェブサイトやアプリ製作向けのツールを揃えたプラットフォームを設立した。同社は先日のシリーズB資金調達で2800万ドルを調達した。今回のラウンドはインデックス・ベンチャーズが主導し、CRVやトリニティベンチャーズも出資に参加した。

パンデミックの発生を受けて、小売業界ではリアル店舗に依存していた業者がサイト構築やアプリ開発を進める動きが活発化している。この分野で先行した「Wix」の第1四半期の売上は前年同期比24%増の、2億1600万ドルに増加した。

また、オンラインビジネスを支援するショピファイ(Shopify)は先日、株価の急騰によりカナダで一時的に最も企業価値が高い企業に急伸した。「この分野では、以前なら2年間に相当する変化が2カ月で起きた」と、インデックスでGatsbyの調達を主導したShardul Shahは話している。

Gatsbyのツールを用いれば、プログラムの知識が無くてもアプリ開発や高機能なサイトの作成が可能になる。「当社が提供するのは、クラウド時代のコンテンツマネージメントシステムだ」とGatsbyの共同創業者でCEOのカイル・マシューズは述べた。

現在35歳のマシューズは複数のITコンサルティング企業を立ち上げた後、2017年にGatsbyを設立し、ウェブアプリ開発を支援するオープンソースのプラットフォームの提供を開始した。

初期のプラットフォームが9万人の利用者を獲得した後、彼は昨年11月に企業向け有料サービスのGatsby Cloudを立ち上げ、既に200社以上の企業顧客を抱えている。Gatsby Cloudの企業顧客数は、過去2カ月で倍増したという。

Gatsby Cloudは現在、スポティファイやキャピタル・ワン、デザインソフト企業のFigmaでも利用されている。

コロナを追い風に急成長


新型コロナウイルスのパンデミックは、GatsbyのようなEコマースを支援する企業の存在感を高めた。先日はオンライン調査企業のAmplitudeが5000万ドルを調達し、企業価値は10億ドルに膨らんだ。

Gatsbyの企業価値は、今回のシリーズBラウンドで2億1800万ドルとされ、累計調達額は4600万ドルを超えた。2019年9月のシリーズA以降に、同社は社員数を約3倍に伸ばし、現在は68人を雇用している。Gatsbyの初期出資元としては、アドビのCPOのScott Belskyらが居る。

マシューはGatsbyの売上を開示していないが、現状では売上拡大に注力しており、黒字化はまだだという。彼はこの先の野心的ゴールとして、2030年までに世界のウェブサイトの10%のバックボーンとなることを目指している。

これは創業間もない新興企業としては高すぎる目標かもしれない。しかし、インデックスでGatsbyの調達を主導し、DataDogやAttack IQの調達も支援したShahは、「パンデミックによって企業らは今後もずっと、オンラインでの存在感の向上を目指すようになる」と話している。

「全てのオフラインの企業が、今後はオンライン重視の方向に進むことを求められている。さもなくば会社は倒産する」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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