ウーバーは5月初旬に、Jumpのビジネスをこの分野の競合のLimeに譲渡したが、事業を移管する過程で不要になったJumpの車両を処分した。しかし、新型コロナウイルスのパンデミック以降、公共交通に代わる移動手段として電動自転車やスクーターの重要性は高まっており、まだ使える車両を寄付するのではなく、鉄クズにするというスタンスが批判を浴びている。
ウーバーは5月27日、全米各地から回収したJumpのロゴ入りの電動自転車や電動スクーターを金属リサイクル工場に送り、車両の電子部品も適切に処分したと述べた。
フロリダ州の起業家のCris Moffittは先週、Jumpの赤いロゴ入りの数千台の自転車がスクラップ処理場に送られた動画をツイッターに投稿していた。「もっとましなやり方があったはずだ」と彼は述べた。
ウーバーは2018年4月にJumpを買収したが、その後さらにLimeにも出資を行っていた。5月初旬にLimeは、ウーバーの主導により1億7000万ドル(約180億円)の資金調達を実施した。出資にはアルファベットの投資部門であるGV(旧グーグルベンチャーズ)も参加した。
この取り引きの一貫でウーバーはLimeにJumpの事業を吸収させており、比較的新しい車両はLimeが引き継いた。ウーバーはその残りの車両を「責任を持ってリサイクル処分した」と主張している。
ウーバーはNBCニュース宛ての声明で「当社は残りの旧式の車両について寄付することも検討したが、修理の必要性や車体の信頼性、安全面での課題など、様々な事情を考慮した結果、責任を持ってリサイクル処分するのが妥当だと判断した」と述べた。
Jumpの元従業員のRudi Rietは、スクラップ処理場に送られた自転車の動画にコメントし、「これはJumpで働いていた人たちに対する侮辱としか思えない。ウーバーは恥を知るべきだ!」と述べた。
シェア自転車の有効性を訴える非営利団体のBike Share Museumも公式サイトで「ウーバーはまたしても人々の期待を裏切り、環境にダメージを与え、マイクロモビリティを推進する人々を失望させた」と述べた。
「ウーバーはパンデミック以降に、自転車が人々の暮らしに欠かせないツールとなる中で、2万台もの車両をスクラップにした。多くの人々が経済的苦境にあえいでおり、これらの車両は日常の足として有効活用できたはずだ」
人々は混雑した公共交通機関を避ける傾向にあり、全米の各州で自転車の売上は伸びている。