コロナ禍による銀行への悪影響、2025年まで続くとIMFが予測

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国際通貨基金(IMF)は、2020年4月に公表した「国際金融安定性報告書(Global Financial Stability Report)」のなかで、先進9か国の銀行は大幅な収益減の状態が2025年まで続くだろうと予測している。また、新型コロナウイルスによる収益減を補填するためには「相当な措置」が必要になるとした。

新型コロナウイルスによる影響で、各銀行はすでに大きな打撃を受けている。米国の主要5行は、2020年第1四半期決算で2桁の減益となっており、早期回復は容易ではないだろうとIMFはみている。

「銀行が抱える収益性の課題は、新型コロナウイルスの感染拡大前から存在していた。いまの喫緊の問題が解消したずっとあとの、少なくとも2025年まで、その状態は続くだろう」と報告書には書かれている。

IMFは、銀行が抱えるそうした課題は貸し倒れと低金利から生じると指摘し、その両方が、今後数年にわたって利鞘を圧迫するだろうと述べている。たとえ、(2007年から2010年の)金融危機後に実施された規制措置によって、現在の銀行には以前よりも体力があるとしてもだ。

コスト削減や手数料値上げは助けになるが、減益分を完全に補うには至らないだろうとIMFは述べている。

IMFはさらに、銀行は今後数か月のうちに、減益を補おうとして「過大なリスク」に手を出す恐れがあると警告している。

連邦準備制度理事会(FRB)による最新のリポートも、IMFの見解と同内容だ。FRBは、2020年5月15日に発表した金融安定報告書(Financial Stability Report)のなかで、銀行はパンデミックによるリソースの圧迫で膨大な損失を出すことになると警鐘を鳴らした。

新型コロナウイルスが金融システムに本格的な影響を及ぼし始めた第1四半期、米国の各銀行は収益を大きく減らした。モルガン・スタンレーは32%の減益、シティグループは46%の減益、ゴールドマン・サックスは49%の減益、バンク・オブ・アメリカは45%の減益となっている。また、JPモルガン・チェースは前年同期比で69%もの減益となった。各大手銀行は、多額の貸倒引当金を計上して、大量の貸倒損失に備えている。

2020年5月15日には、ウォーレン・バフェット率いる投資会社バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)が、保有するゴールドマン・サックス・グループ株の84%を売却した。バークシャーは、2008年の金融危機時に50億ドル相当のゴールドマン株を取得して以来、長く保有してきたことで知られていた。バークシャーは2020年第1四半期に、JPモルガン・チェースの株式保有も3%減らした。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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