ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座

オークションの模様

アメリカで新型コロナウイルスが猛威をふるう前の2月半ば。アメリカ随一のワイン産地であるナパヴァレーの「The Culinary Institute of America」は、熱気に包まれていた。

そこは、ワインのライブオークションの会場。オークショナーがテンポよく価格を叫ぶ声が鳴り響く中、入札価格はあっという間に釣り上がり、出品されたワインが次々と高額で落札されていく。休憩中には大音量のダンスミュージックがかかり、ポップコーンやクッキーが振舞われ、アメリカらしい、楽しく活気溢れる雰囲気が漂っていた。

ナパが最も活気づく一週間


これは、毎年2月に開催される「プルミエ・ナパヴァレー」というワイン業界関係者向けのオークションの一場面だ。このオークションが開催される一週間は、数々のワインの試飲会やイベントが開催される。参加する生産者(ヴィントナーズ)は300を超え、提供されるワインは千種類以上。これらのワインを求めて、全米のみならず、世界中から、ワインバイヤーやジャーナリストが集まり、ナパが最も活気づく一週間だ。(ナパ・ヴァレーについての過去記事はこちら


ワイナリーの醸造施設でのワインお披露目ディナー。今回は、主に2018年収穫のワインが出品された

オークションには、生産者たちが、「One of a kind」、すなわち、このオークションのためだけに造った「唯一無二」のワインを寄付し、ワインバイヤーたちが競り落とす。今回は70種類以上のワインが入札にかけられ、落札総額は390万ドル(約4億2000万円)に上り、大成功に終わった。

ナパワインを世界に広める


このオークションを主宰しているのは、ナパヴァレーの振興、保護、向上をミッションとする非営利団体の「ナパヴァレー・ヴィントナーズ(Napa Valley Vintners)」だ。集められた資金は、この団体の活動費に充てられる。

理事長のリンダ・レイフ氏は、「このイベントは、ナパ・ヴァレーのワインを広め、その素晴らしいクオリティを実感してもらう大事なものです。オークションで集まった資金は、当団体が推進しているナパの持続可能なワイン造りなど、重要なプロジェクトに使われます」と語る。同氏は、その功績が認められ、2020年のワイン・エンスージアスト誌の「パーソンオブザイヤー」にも選ばれている。


非営利生産者団体ナパヴァレー・ヴィントナーズ代表理事のリンダ・レイフ氏

文・写真=島 悠里

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