「企業ノイズ」をブランディングに活用 音の余白が生み出す新たな可能性

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ノイズで地域ブランディング


3つ目は、ノイズが持つ余白が、地域ブランディングにぴったりマッチした例です。

JR東日本が実施している、「東京感動線/TOKYO MOVING ROUND」という五感で山手線の街の魅力を伝えていくプロジェクトに、私たちの提唱する「ノイズ」を採用していただきました。山手線大塚駅にフォーカスし、まずはシンプルに街のノイズを発信。さらに、その音に加えて、アーティストが自ら街を歩いて集音するフィールドレコーディングと、それらの音を使った楽曲制作ワークショップを一緒に実施したのです。

フィールドレコーディングをすることで、街の人々とJR東日本の交流も自動的に増えました。そこでつくった楽曲を通じて、街の新たな魅力も引き出すことができました。ノイズを収録し曲へと変える、この一連の流れをまとめたドキュメンタリー映像も、街の魅力を自然な姿で残すコンテンツの1つになりました。

また、ワークショップに参加したアーティストたちが出演する音楽イベントにアーティストのファンが来てくれたことで、自然にその街の魅力を拡散することにも繋がりました。

企業のノイズを、オンラインで発信することにとどまらず、オフラインのさまざまな施策と結びつけるこの取り組みも、発信される媒体を選ばないというノイズの「余白」があってこそ実現したと考えています。

いかようにも料理できるノイズだからこそ、さまざまな施策を絡めた立体的な取り組みが可能になり、単発のアクションではなく、複合的な取り組みとして魅力を伝えていくべき、地域ブランディングに効果を発揮できるのです。

「ノイズ=抽象度の高いもの」だからこそ、楽しみ方も、魅力を感じる瞬間も、その音を使って何をしようと考えるアイデアも、まだまだ無限に広がっていくと考えています。

みなさんも、自分だったらノイズを使ってこんなことをやってみたいというアイデアを考えてみてはいかがでしょうか。きっとノイズのもつ「余白」が、あなたが想像する以上の広がりを、そのアイデアにももたらしてくれるはずです。

連載:ノイズの可能性
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文=安藤 紘

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