チーフエコノミストのヤン・ハチウスが最近のリポートの中で示した。
リポートによると、全米の失業率の高止まりは予想よりも長引く公算が大きい。「一時解雇」の労働者が多いとはいえ、そのすべてが早期に再雇用されることにはならないとの見方だ。
高い失業率が続く理由としてハチウスは、職場復帰への意欲を損なう政策を挙げる。米国では新型コロナ対策で失業給付を手厚くした結果、失業者の大半は雇用されていた時よりも収入が多くなっている。そのため、「(賃金補償を通じた)雇用維持に重点を置く欧州式の対策と比べると、まったく新しい仕事を探さざるを得ない人が相当多くなる」
ハチウスの見通しでは、米国の失業率は年内は12%前後に張りつき、来年も8%程度の水準が続く。これは「ほかの大半の先進国の水準をはるかに上回る」数値となる。
「結論として言えば、米国の失業率は当面の経済回復の妨げにはならないだろうが、速やかに解決しそうにもない」とハチウスはまとめている。
新型コロナが米経済に大打撃を与えるなか、全米の失業率は4月に14.7%と大恐慌以降で最悪の水準を記録した。失業保険の新規申請数は過去9週間で3800万件超に膨らんでいる。