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2020.06.05 06:30

テレワークは「やりがい搾取」の温床? マネージャーが注意すべきは

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4月7日から実施された新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言が、約2カ月ぶりに解除された。この期間、テレワークを導入した企業は少なくないだろう。やっと慣れてきた頃での解除だ。

この間、実際にテレワークで働いた人の約6割が、「収束後もテレワークを続けたい」と解答したアンケート結果が出るなど、今後の働き方にも影響を与えそうな、今回のテレワーク導入であった。そんななかでマネージャークラスは、何を注意すべきか。「やりがい搾取」という視点で考えてみたい。

部下の「仕事好き」や「忠誠」に注意


一部のIT企業を除いて多くは、今回初めてテレワークへの環境を整えたのではないだろうか。その良し悪しについては別の記事に任せたいところだが、そもそも、「やりがい搾取」とは、教育社会学者で東京大学教授の本田由紀氏が名付けた概念だ。労働対価として、賃金の代わりに「やりがい」を差し出す、といったことを指す。

これは、労働対価として賃金の代わりに「やりがい」を差し出す、といったことを指す。「用例」としてはたとえば、劇団員をしながら生活のためバイトにいそしむ俳優志望の友人を、「お前、好きな芝居やれてるからってやりがい搾取されてね?」と心配する場合などがあり得るかもしれない。

むろん上司が部下に、「この仕事は給料以上のやりがいがあるだろう」として、黙示的に重労働を強制することも含まれるのだ。


Photo by Aditya Wardhana on Unsplash

本田氏の著書『軋む社会──教育・仕事・若者の現在』では、「やりがい」の中身は「趣味性」「奉仕性」「ゲーム性」「サークル性・カルト性」があるとされている。自分の得意なことや、とくに好きなことを仕事にしていたり、そこに責任感があったり、チーム内での競争があったり、組織に対しての忠誠心が高かったりする場合に起こりうるのだ。

とくにテレワークの環境下、部下の顔色、表情が見えないなか、知らず知らず彼らから「やりがい搾取」していないか? ふりかえる必要があるかもしれない。そしてその場合、「好き」「満足感」と引き換えに重労働を強いていないか? ばかりでなく、以下の3つの場合にも気をつけるべきではないだろうか。

1. 新メンバーの場合:経験不足を「自前」のコストでまかなう


例えば、新しく働き始めたメンバーや、専門的な仕事にあたっていないメンバーだ。新卒で入ってきたメンバーはもちろんのこと、この春に転職したメンバーは、その会社の風土を理解できてはいない。必要以上にコストをかけて目の前の業務に取り組んでいるとしたら、テレワークの環境下で確認することは難しい。本人がそのコスト量に疑問を感じていても、なかなか言い出せるものではないという背景もあるだろう。

2. 専門技能不足の場合:「申し訳ない」と無理をしがち


自分の領域や専門分野で仕事に携わっていると、アウトプットの頻度や濃度が高まるものだ。だが逆に、専門的な技能を持ち合わせていない場合はどうだろうか。当然、本人もそれを理解しているだろうから、申し訳なさから仕事量を増やしてしまうことがあるだろう。

「自分が我慢すればいい」と、雑務を受け入れてくれるメンバーほど注意が必要だ。もし、彼らに仕事を振るのであれば、何をもってこのタスクはゴールとなるのか、明確に指示することが重要である。


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文=上沼祐樹 編集=石井節子

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