ビジネス

2020.06.05

テレワークは「やりがい搾取」の温床? マネージャーが注意すべきは

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3.「在宅で仕事ができて、ありがたい」の場合:感謝のあまり無理をしがち


そして、3つ目。とくにコロナ下、命の危険にも晒されながら日々現場で闘う医療従事者を始め、日常必需品の小売店に勤務する人たちなど、どうしても「在宅では務まらない」職種もある。自分はそうではない、ありがたい、と感じるあまり、ついつい「サービス激務」にいそしむむきも少なくないのではないか。

──世の中の働き方が最適化されるなかで、メンバーの誰かが「やりがい搾取」と感じていては、チームの雰囲気もパフォーマンスも最適化はされないだろう。

また被管理者側も、「好きな仕事だから」「俺がやらなきゃ誰がやる」「まだまだ勉強中だから人一倍がんばらねば」「リモートで仕事できている幸せの分、恩返ししなければ」といった発想で時間(すなわち時間あたりの給料)を搾取されぬよう、自ら心すべきだろう。

リラックス、ぼんやり……その余白こそアイデアの巣窟


顔が見えないことで、メンバーがちゃんと仕事をしているか不安を感じるマネージャーもいることだろう。そこで、一つ、テレワークのマネジメントにあたり、マイクロ・マネジメントや要らぬ猜疑心から解放され、視点を変えるヒントを。

いくら考えても出てこなかったアイデアが、ランニングや散歩、シャワーを浴びている時にふと出てきた経験はないだろうか。

素晴らしいアイデアが出て来るタイミングには“ある共通点”があると、SNS自動投稿ツールを提供するBuffer社の共同創設者、Leo Widrichらが語っている。それは、「ドーパミンが出て脳が活性化されている」「リラックスしている」「ぼんやりしている」状態。

温かいシャワーを浴びている時や運動をしていると、ドーパミンの分泌量が増加するし、リラックスしている状態とも言える。また、リラックスをしていると精神が安定し、意識が外側ではなく内側に向く。そうすることで、直感とつながりやすくなり、アイデアが生まれるのだ。当然、普段からアイデアをひねり出そうとしている努力があってのことだが、業務時間内の余白には意外な効果が見られることもある。

手が空いているメンバーを見つけては「やりがい搾取」をするのではなく、余白を認めてアウトプットの内容で評価する。ポストコロナ時代のマネジャースキルの一つなのかもしれない。

文=上沼祐樹 編集=石井節子

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