経済・社会

2020.06.01 11:00

柳井正、ジャック・マー、李嘉誠ら 新型コロナでアジアの富豪は何をした?

新しいビジネスの創業者であり、巨大企業の経営者であるビリオネア。この未曾有の危機に対して、どのような変革の行動を起こしたのか。

5月25日発売のForbes JAPAN7月号は、「パンデミックVSビリオネア 変革を先導せよ」特集。Forbes恒例の「世界長者番付」と「日本長者番付」の2020年版発表のほか、今年は米Forbes誌が総力を上げて取材した豪華ビリオネア陣の記事を一挙公開する。

今回は、アジアのビリオネアたちにフォーカス。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、彼らはどのような支援を行い、どれほどの寄付をしたのか? 特集の記事から一部をお届けする(寄付金額は4月27日現在で判明した分、総資産は3月18日発表のビリオネアランキングに基づく)。


ジャック・マー/馬雲 (アリババグループ創業者)


ビリオネアランキング 17位
寄付金額:1400万ドル
総資産:388億ドル
主な寄付先:WHO、各国政府、各都市自治体、 米コロンビア大など 

各国に対し、すぐに使える物品を重視した支援を実施。3月2日に日本にマスク100万枚を寄付すると発表し、翌日には現物が届いた。3月だけでも、東京都にマスク10万枚、米国にマスク100万枚・検査キット50万点、エチオピアにマスク540万枚・ 検査キット100万点以上・防護服4万着・フェイスシールド6万点、欧州にマスク30万枚・ 保護手袋30万点・人工呼吸器800台など。4月もWHOに医療用マスク100万枚・ 一般用マスク1億枚・検査キット100万点の 提供を発表した。米豪の研究機関による治 療薬・ワクチンの開発にも計430万ドルを寄付している。

なお、こうした寄付は、マーの創設したアリババ公益基金会と馬雲公益基金会によるもので、企業主導なのか個人主導なのかは曖昧だ。また、中国政府が展開する「コロナ外交」との関連性を指摘する声もあることは、留意したい。物品の寄付先は4月末時点で150カ国を越えている。 

柳井正(ファーストリテイリング会長兼社長)


ビリオネアランキング 41位
寄付金額:非公開
総資産:197億ドル
主な寄付先:国内外の医療機関など 

2020年のランキングで日本一の富豪になった柳井正。表になっているのはファーストリテイリングとしての支援活動。ファーストリテイリングは3月26日、日本、イタリア、米国、スペイン、ドイツ、フランス、英国など、ユニクロ事業を展開する主要国に医療用マスク計1000万枚を寄贈すると発表。4月30日には医療用ガウン20万点とエアリズム肌着を国内の医療機関に贈る方針も明らかにした。

このほか1月以降、中国、韓国、東南アジア諸国で医療従事者向けにヒートテック/エアリズム衣類やダウンジャケットの提供や NGOへの寄付も。

リ・カシン/李嘉誠 (長江実業グループ創設者)


ビリオネアランキング 35位
寄付金額:217億ドル
総資産:1300万ドル
主な寄付先:国内外の医療機関など 

香港の大富豪で、李嘉誠財団はビル&メリンダ・ゲイツ財団に次ぐ世界2位の規模を誇る。新型コロナウイルス危機では、2月に防護服5000着をニュージーランドから香港へ自家用機で運び、武漢に1300万ドルを寄付。25万枚のマスクを13の社会福祉団体や老人施設に配った。4月にはインドネシアの医療従事者向けにカプセルホテルユニット100台を送った 。なお 、香港民主化デモ問題では中小企業に1億2800万ドルを寄付している。
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文=岡田浩之、フォーブス ジャパン編集部

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