AI解析による信用スコアを活用、LINEの個人向けローンサービスが話題

ローンの申し込みから返済までLINEアプリで手続きが完結する。


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LINE Creditのアンケート結果から、食費や日用品の購入のためローンを利用したという声が最も多く返ってきたことが明らかになった。

「今後も労働環境が大きく様変わりしていく中で、多様な働き方を模索する方々を支援したい。AIを活用したスコアリングサービス、ならびにLINEが開発を進めるクレジット テクノロジーが信用格差の広がりを解決するための一助になることを私たちも目指している」と川崎氏が語っている。

LINE Pocket Moneyの契約極度額は5万円から300万円。貸し付けは融資額を1円から1円単位で、3.0〜18.0%の利率により申し込める。例え借り受ける金額が少額であっても、信用スコアに応じて金利が決定されるためユーザーには負担感が少ないことが特徴だ。

また平均11%という金利も消費者金融大手と比較したに約4%ほど低く設定されているという。その理由を川崎氏は「人員・店舗や広告にかける費用が抑えられる構造となっているため、そのメリットをユーザーに還元できる」のだとしている。

なお2020年6月11日からは新規契約日から利息を100日間実質無料とするキャンペーンが展開を予定している。

ローンの申し込みがモバイルアプリを使って簡単にできることも特徴のひとつだ。本人確認にはモバイル端末のカメラで撮影したユーザーの顔画像のデータを使う「オンライン本人確認(e-KYC)」の仕組みを導入している。通常は必要とされる郵送物のやり取りが不要となる。

申し込み、および借り入れと返済は原則24時間LINEアプリで任意のタイミングに行える。ATMへの来訪を必要とせず、アプリで完結する手続きが好評を博しているという。4月時点での随時返済サービスの利用経験者率は45%に上るそうだ。なお約定返済日の3日前になると、LINEのメッセンジャー通知でアラートが送られる。返済にはLINE Pay残高、または連携銀行口座からの自動引き落としが使える。

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スマートフォンのカメラで本人確認を行うe-KYCの技術を導入。

“with/after コロナ時代”に人々を支えるクレジット テクノロジーを展開


川崎氏は「個人の働き方が多様化するであろう“with/after コロナ時代”に、LINEの行動履歴によるスコアリングモデルとユーザーデータを基板とするLINEのクレジットテクノロジーが、働く人々の生活を力強く支えるテイラーメイドの金融体験を提供できるものにしていきたい」と意気込みを語っている。

LINEのようなコミュニケーションプラットフォームからAIにより解析されたビッグデータを活用しながら、ユーザーが自身の信用度をアプリ等で可視化しつつ利用できるできる金融系サービスは他に類を見ないのではないだろうか。

LINEグループ全体としては今後、個人向けローンサービスのビジネスモデルを起点として、中小企業向けローンや信用保証サービスにまで、独自のクレジット テクノロジーによるサービスの水平展開も検討を進めていくという。同領域でLINEグループが担うべき役割や、既存コンペティターとの違いが一段と明確化していくのではないだろうか。“コロナ禍”による影響が続く中で、多くの人々が信頼を寄せられる金融サービスとしてLINEの各サービスが成長を遂げられるのか。今後に注目したい。

文=山本敦

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