ビジネス

2020.05.29

武器は「美味しいコーヒー」 起業家になったバリスタの原点

LIGHT UP COFFEEのオーナー・川野優馬氏


仕事と人生の幸せな関係を、コーヒーで紡ぐ


現在は株式会社化した「WORC」も、構想した当初はLIGHT UP COFFEEの一事業として位置付けていたそうだ。では、なぜ株式会社化し、3000万円の資金調達を行ってスタートアップとして生きていく道を選んだのか。答えは一つ、「スピードへの執着」だ。

「僕は美味しいコーヒーを飲むと幸せになれるということを、もっと早く、もっと多くの人に伝えたいんです。街のコーヒー屋さんで終わらず、コーヒーの価値を伝える手段として、資金調達を選びました。

僕はビジネスシーンに、コーヒーを起点としたポジティブなエネルギーを生んでいきたいと思っているんです。よく、「ワークライフバランス」なんていうじゃないですか。僕の解釈でいえば、仕事と私生活のバランスを取り、人生を豊かにしようという考え方です。

しかし僕は、ワークはライフの一部だと思っているんです。だって、人生の3分の1は労働時間っていうじゃないですか。ならば、働く時間を豊かにして、人生を必然的に豊かにしてしまえばいい。「WORC」を通じ、働く場所がワクワクする居場所になる新しい「オフィスのコーヒーカルチャー」をつくることが、僕の使命だと思っています」

「WORC」は、オフィスにポットを運ぶ福利厚生デリバリーサービスを展開し、3000社の導入を当面の目標に事業計画を組んでいた。「知り合いづてで評判が広まり、一定のキャズムを超えると一気に拡散する」というtoB向け事業の特性から、いかに早く事例を積み上げていけるかに心血を注いでいた。

しかし現在、多くの人が知るように新型コロナウイルスが猛威を振るっている状況。「WORC」はサービスを一時的に停止し、テレワークを行う個人に向けたサービスの提供に切り替えている。LIGHT UP COFFEEというtoCのコーヒーブランドを持っていることも強みとして、オフィスの設備としての福利厚生ではなく各個人が場所にとらわれず自宅でも利益を享受できる、いわば「おうち福利厚生」の流れを、各従業員の自宅に直接コーヒーを届けるサービスで展開していく。

発売開始済みのプロダクトは、2種類。LIGHT UP COFFEEの代名詞でもある、シングルオリジンコーヒーが持つ果実の風味をクリアに抽出した「SINGLE ORIGIN COFFEE JELLY」と、バリスタがエスプレッソマシンで丁寧に抽出したエスプレッソの、豊かな風味をそのまま急速冷凍した「エスプレッソキューブ」だ。



「どちらもこれまで、LIGHT UP COFFEEでお出ししてきたシングルオリジンコーヒーからつくった、おうち時間を楽しくするコーヒー製品です」と川野氏。

緊急事態宣言の延長が決定し、外出が憚られ、リフレッシュのままならない毎日。今こそ、「ワクワクしながら、働こう。」をビジョンに掲げるWORCの真価が問われている。

文=小原 光史 写真=小田駿一

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