眠りがパフォーマンスを変えた FC東京の林選手が語る「睡眠力」

FC東京の林彰洋選手(c)F.C.TOKYO


──ビジネスパーソンも、自覚のない緊張やプレッシャーを抱えていることがあります。アスリートとして試合前にやっている調整法やパフォーマンス向上法で、ビジネスパーソンでもやってみたら効果があるのではと思うことはありますか?

そうですね、寝ることに集中したいときは、スマホをレスする(手放す)ことを意識するといいと思います。

ビジネスパーソンの人たちは、僕たちよりスマホやパソコンを使うシーンが多くなりますよね。例えば、24時間のなかで12時間ぐらいスマホを常に持っているような状況だとしたら、最低でも寝る1時間前くらいから「レス」の時間をつくる。するとその1時間なら1時間を何かほかのことにあてられます。本を読んだり、ストレッチをしたり。すると、時間や情報に追われることなく、精神的にも余裕ができるのではないかなと思います。

僕もなんとなくスマホを触ってしまうことが多いのですが、スマホレスがうまくできているときは、自分でも充実しているなと感じています。こうやって話すのは自分の手の内を見せることに等しいので、あまり詳しく話したくない気もするのですが、僕は本当に睡眠でパフォーマンスや生活が変わったので、その可能性を多くの人に知ってもらいたいなと思っています。

──まさに睡眠が人生にも大きな変化を与えたということですね。

過去の自分に対して、サッカー以外で何を変えたらよかったかと問われたら、間違いなく「睡眠」と答えます。

元々、いろいろなことに対する興味や関心は強いほうなのですが、興味を持ったものに対する意欲やパワーの使い方も、睡眠を取れているときと、取れていないときとでは全然違ったのではないかと、いまとなっては思います。

子どもの頃によく寝ていたほうではなかったので、もしその頃からしっかり寝ていたら、もっと意欲を持っていろいろなことに臨めていたのかなとも思います。結果的にプロスポーツ選手にはなりましたが、違うものになっていたかもしれないとさえ感じています。

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Getty Images

アスリートとしても、これからプロスポーツの選手になるために何をしたらいいですかと聞かれたら、一生懸命練習することはもちろん、「栄養を取ることと、しっかり寝ること」と答えますね。

僕は子どもが2人いるのですが、今回の外出自粛の影響で、僕につられて子どもたちも夜更かしすることが増えてきてしまいました。早い時間に子どもを寝かせる、睡眠ありきの生活が必要だと思っているのですが、自宅待機になってからはパソコンやスマホに頼らざるを得ないことも多く、睡眠力が低下気味で、いまはそれが課題です。

──最近はテレワークが増えてきてONとOFFの切り替えが難しいという声もありますね。

家のなかでも、ONとOFFの切り替えができるか、スマホやパソコンのレスができるかというのは、大事なポイントかもしれないですね。僕も自分自身で歯止めをかけなければ、延々とスマホやパソコンを使ってしまう傾向にありますが、どこかのタイミングで本を読む時間をつくったりして、できるだけスマホを持たない時間を意識してつくるようにしています。

それはアスリートにもビジネスパーソンにも共通することなのかなと。変えたいと思ったらまず「意識」する。そしてできることら「行動」していく。簡単なことではないですが、それにつきるかもしれません。

連載:「睡眠」をアップデート 
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文=小林孝徳

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