マッキンゼーはなぜ「サンクスレター」に命をかけていたのか?

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僕はマッキンゼー時代の習慣が今も染み付いていて、サンクスレターをメールで書きます。これを長年続けてきて気づいたのは、普段から「すみません」ではなく「ありがとう」を習慣づけていると、不思議と働くことそのものがポジティブに巡っていくことです。

「ありがとう」の習慣のいいところは、相手への感謝を言語化するために、必然的に相手にフォーカスして思考が回ることです。人は自分のことばかりフォーカスするとどうしても不安になってしまうものですが、感謝をベースに他者のことを考えていると、おのずと自分への過剰なフォーカスが外れ、視野が広がり、ポジティブな気持ちになっていく。つまり、「ありがとう」は自分にとっても良い循環をもたらしてくれるのです。


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「ありがとう」は、「有ることが難しい」に由来しますが、自分が「有り難い」と感じたのかを言葉にすることで、それを見聞きした人に自分の見識をシェアすることができる。そうしたささやかなGIVEを自然につないでいくことが、自分や世の中の不安を打ち消していくのだと思います。

GIVE and TAKEといわれる関係ではなく、“GIVEから始まる好循環な働き方”についてはこれまでもこの連載で提案してきまししたが、大幅な加筆修正を加え、7月8日に新著「あえて、数字からおりる働き方 個人がつながる時代の生存戦略」(SBクリエイティブ)として発売します。実はこの本は、「尾原さんってどうしていつも不安がないの?」と質問を受けたことをきっかけに誕生しました。その答えが、この「ありがとう」の習慣です。ぜひ、今日から「ありがとう」を習慣にしてみてはいかがでしょうか。

連載:ポストAI時代のワークスタイル
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文=尾原和啓

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