新型コロナによる死者、半数超を介護施設の入居者が占める国も

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新型コロナウイルスの感染拡大が世界中に及ぼした影響、なかでも各国の介護施設にもたらした影響は、まさに恐ろしいという以外の何ものでもない。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの研究チームは4月中旬、各国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死者のうち、介護施設の入居が占める割合についての調査結果を発表した。

その報告書によれば、COVID-19に感染し、死亡した人のうち介護施設で暮らしていた人が占める割合は、ノルウェーが64%、カナダが57%、ベルギーとフランスが49%だった。

米国の各州でも同様に、こうした傾向がみられている。最初にCOVID-19による死者が確認されたのは、ワシントン州キング郡カークランド市。ライフケアセンター・オブ・カークランドで初めて人から人への感染が確認され、米国では同市が、初期の流行の中心地となった。

この施設では、入居者の4分の3以上が新型コロナウイルスに感染。40人が死亡した。さらに、同州では4月の最初の週末までに、163カ所の介護施設で感染が確認され、死者は200人以上にのぼった。

一方、米カイザーファミリー財団(KFF)が新型コロナウイルスの感染状況について公開しているデータは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)が、米国内の最も被害を受けやすいコミュニティーにどれほど壊滅的な影響を及ぼしたかを示している。

5月21日の時点で、米国では43州にある7732カ所の介護施設で、感染者が確認されている。その数は合わせて17万4381人。これらの介護施設での死者数は3万5118人で、米国全体のCOVID-19による死者数の42%を占めていた。

この数だけでも、衝撃的かもしれない。だが、国内の一部の地域では、死者数はさらにこの2倍近くにのぼっている。KFFによれば、ミネソタ州でCOVID-19により死亡した人のうち、81%が介護施設の入居者だった。

ただ、こうしたデータをみると、最も大きな感染リスクにさらされているのは介護施設に長期滞在している高齢者であるように思えるかもしれない一方で、実際には、それはすべての地域でみられることではない。

ニューヨーク州の死者はおよそ3万人(5月26日時点)だが、KFFのデータによると、この数に占める介護施設の入居者の割合は、20%にとどまっている(国内で最も低い水準)。また、この割合はネバダ州で24%、テネシー州で35%などとなっている。

COVID-19による死者のうち、介護施設の入居者の割合が多い米国の州は以下のとおりだ(5月21日現在)。

・ミネソタ州/81%
・ロードアイランド州/78%
・ニューハンプシャー州/77%
・コネチカット州/70%
・デラウェア州/65%
・ケンタッキー州/64%
・ノースカロライナ州/63%
・マサチューセッツ州/61%

なお、KFFによれば、介護施設の定義は州によって異なっている。データには、看護施設、介護付き住宅、成人ケアセンター、中間介護施設、またはその他の長期滞在が可能な介護施設が含まれている。

編集=木内涼子

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