創業者の溝⼝勇児が、突然の退任を発表したのは今年1月のこと。それから約5カ月、彼の次なる挑戦の全貌が明らかになった。
5月28日、溝⼝勇児と本田圭佑、そして元ネスレ日本社長の⾼岡浩三がファウンダーとなり、21世紀の課題解決に向け挑戦するファンド「WEIN 挑戦者FUND」の設⽴を発表した。0号ファンドのLPは起業家を中心とする個人から集める予定であり、規模は約20億円を目標にしている。その後の1号ファンドは大企業や機関投資家から100億規模での調達を考えているそうだ。
同ファンドは“21世紀の課題に挑む挑戦者を⽀援し、⾃らも事業を⾏う”ことを軸に、Well-Being(ウェルビーイング)の領域で国内のスタートアップ投資、⾃社事業の創造、⼤企業やスタートアップとの共同事業に取り組んでいく。
本田は個人ファンド「KSK Angel Fund」のほか、俳優のウィル・スミスと共同でベンチャーファンド「Dreamers Fund」を立ち上げている。また、高岡は3月末にネスレ日本の社長を退任したばかりだ。なぜ、このタイミング、そしてこの3人で新たにウェルビーイング領域のファンドを立ち上げることにしたのか。3人に話を聞いた。
日本は「21世紀の課題」先進国
17歳の頃から、フィットネスクラブのトレーナーとして活動してきた溝口。プロ野球選手やプロバスケットボール選手、芸能人など、数百人を超えるトップアスリートや著名人のカラダづくりを担当していく中で、ある課題を抱く。
「フィットネスクラブのトレーナーとして、対面でサービスを提供するだけでは健康にしてあげられる人数に限りがある」という課題だ。この課題を解決すべく、健康課題をテクノロジーで解決するミッションを掲げる企業・FiNCを2012年4月に立ち上げた。
「人が幸せに生きる上での土台となる“健康”をより多くの人に届けたい。結果的に幸せに導けなかったとしても、幸せに生きるための土台は届けたいと思ったんです」(溝口)
ヘルスケア/フィットネスアプリから始まり、最近では「ヘルスケア×テクノロジー(⼈⼯知能)」まで事業領域を拡大。また累計150億円強の資金を調達し、国内No.1のプラットフォームの地位を確立するなど、創業から7年半でFiNCは大きく成長を遂げてきた。