新型コロナがアート業界に与えた影響。オンライン化で可能性は広がっていくか?

美術館やギャラリーに足を運び、アート作品を鑑賞する──これまで当たり前としてきた“アートの楽しみ方”がいま、変革期を迎えている。突如、世界中を襲った新型コロナウイルスの感染拡大により、美術館やギャラリーは休館を余儀なくされた。

それに伴い、アーティストは作品発表や販売の機会を失い、苦しい状況に置かれている。あらゆる物事のオンライン化が加速する中、Withコロナ、Afterコロナの時代において、アートはどのような価値創造を行っていくべきなのだろうか?

さまざまな企業、団体が今後のアートのあり方を模索する中、オンラインのアートテリングツアーを企画する動きも出ている。それが「RUNDA」だ。



同ツアーは“アーティストの視点にたって、アーティスト個人の考え方を深掘りする”ことをコンセプトに2016年からスタート。数々の「アーティストの声を直接聞く場」「作品と鑑賞者の距離を縮める機会」を提供してきた。これまでは“直接”会う形をとっていたが、コロナ禍を機にオンラインアートツアーへとシフトしていく。

オンライン化によって、アートの体験はどのようになっていくのだろうか? 今回、RUNDAを主宰する電通の上原拓真が所属する、社内外横断による専門的なプロジェクトチーム「美術回路」のメンバーに話を聞いた。

新型コロナでアートの間口が広がり、チャンスが増えた


──まず、RUNDAはどのような経緯で立ち上がったのでしょうか?

上原拓真(以下、上原):新しいアート消費のあり方を考えないと、一般の人にまでアートの価値が浸透しないのではないか、と思ったんです。そこで、作品に触れるというよりも作家に触れるという形であれば、アートが別の形で回路を作れるのではないかと思い、立ち上げに踏み切りました。

東成樹(以下、東):普段、アーティストと話せる場はなかなかありません。今回のオンラインツアー「RUNDA」で、「ちょっと話を聞いてみよう」という気軽な気持ちで、簡単に話せるようになる。実質無料かつ、自宅から繋がれるという意味では、アートへの入口が広がるのではないか、と思っています。
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構成=初見真奈

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