作品としてのアートの価値が高まっていく
──オンライン化による、リアルな空間の価値が問いただされています。今後、アート業界でリアルな空間はどのような意味を持つとお考えですか?
若林:オンラインでのオークションや個展が主流になれば、リアルなアートの価値が極端に上がる可能性もあるわけです。
例えば、一点ものの素晴らしい作品を観に田舎に行って、美味しいご飯を食べて帰ってくるということだけにも価値が発生するようになる。車でしか行けないところであれば、なおさら価値は上がります。
こういった新しいアートツーリズムのあり方や、地方活性化に繋がるようなことも、リアル空間の活用から容易に想像できます。
上原:先ほどオンライン上では画像と作品の違いがわからなくなるといいましたが、逆にリアルなアートの価値は高まっていくと思います。アートが二極化していくことも考えられます。リアルの空間に行くことがプレミアムであれば、現物としてのアートに触れるのは価値が高まります。オンライン上での広い意味でのアートに対して、狭い意味での作品としてのアートというのは価値が高まっていきそうです。