関係筋がフォーブスに語ったところによると、シリコンバレー本拠のZooxの買収については、他の複数の企業も関心を示しているという。Zooxの企業価値は現在、32億ドル(約3400億円)程度とされているが、WSJによるとアマゾンが提示する金額はそれをやや下回る水準になる見通しという。
両社はまだ合意に至っておらず、買収成立のタイミングも定かではないが、Zooxの出資元は同社が独立した企業体として運営を続けることを望んでいる模様だ。
カリフォルニア州フォスターシティに本拠を置くZooxは、フォーブスからのコメント依頼に対し「噂や憶測にはコメントしない」と回答した。アマゾンからの返答は得られていない。
オーストラリア出身のアーティストで起業家のティム・ケントリークレイと、スタンフォード大学のコンピュータ科学者のジェシー・レビンソンらが2014年に共同創業したZooxは、完全な「ロボットカー」をいちから設計し、オンデマンドのロボットタクシーサービスや、デリバリーサービスを構築することを目指してきた。
同社は個人向けの車両ではなく、企業サービス向けの車両を開発し、年内の商用化を目指してきた。共同創業者のケントリークレイは、2018年の5億ドルの資金調達の後に会社を追放され、現在は元インテルのAicha EvansがCEOを務めている。
Zooxは累計10億ドル近くを調達しているものの、同社の野心的プランの実現に向けてはさらに莫大な資金を注入する必要がある。フォーブスは5月上旬の記事で、追加の資金調達に苦戦したZooxが身売りを検討中であると報じていた。
一方で、アマゾンは昨年9月にEV(電気自動車)バンを開発する「Rivian」に4億4000万ドルを投資し、同社から10万台のEVを購入すると宣言したものの、自動運転分野に関しては比較的慎重なスタンスをとってきた。
アマゾンは、2019年2月にグーグルやテスラ、ウーバーの自動運転部門のスターエンジニアが結集した自動運転企業「Aurora(オーロラ)」にも出資したが、現状では同社のテクノロジーの導入については発表を行っていない。