ビジネス

2020.05.27

第二創業、原点回帰。CRAZYが再定義する「お祝い」のカタチ

CRAZY 代表取締役社長 森山和彦(写真=小澤彩聖)


──これまで夫婦経営という形で経営を担ってきた山川さんが独立されたのは、今年の3月末。大変なことはありましたか?

そりゃもう、大変なことだらけでしたよ。彼女が相談をくれたのは、2019年の末のこと。まだ小さい娘の育児も忙しく、会社としても今後の方針を考え直さなければいけないと思っていた時期だったので、直接顔を合わせて話し合う時間がほとんど取れなかったんです。そんななか、娘がすやすやと寝ているタイミングに彼女から話を受けました。「CRAZYから独立しようと思う」と。

でも、彼女と僕は「共同創業者」です。CRAZYは、僕の会社でもあり、彼女の会社でもあった。なぜ公私ともにこんな大変な時期に辞めてしまうのか。そう聞くと彼女は『いまは2人でやらない方が絶対におもしろい』と言ったんです。ハッとしましたね。


写真=渡辺健太郎

──おもしろい?

CRAZYは、これまでずっと“情熱あふれる個人”によって支えられてきた会社です。社員それぞれが「絶対におもしろい!」という確信と情熱を持ち、あらゆるサービスを立ち上げてきた。

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によって外出が制限されてしまい、外で「お祝い」ができなくなった方々のための『IWAIのお祝いごはん便』だってそう。2020年4月にスタートしたサービスですが、これはあるひとりの社員から生まれました。社長である僕は、ブランディング面でほんの少しだけ相談されたのみ。それ以外はまったく関わっていません。それでも、どんどん進んでいきました。一人の社員の「おもしろい」によって、他のメンバーが巻き込まれていったんです。

思えば、今までもずっとそうだった。山川が言った「絶対におもしろい」も、信じてみようと思ったんです。それで良いんじゃないか、って。これまで会社としての社長人格は、僕と彼女のふたりの力を合わせて100%でした。でも、これからは僕だけで100%を担えると思えたんです。なぜか「絶対におもしろいだろう」と。

制限のなかでこそ、光り輝く「選択肢」がある


──今回リリースされた「Congrats」は、そんな「個人の“おもしろい”」に支えられたサービスなんでしょうか?

おっしゃる通り、僕個人が猛烈に「おもしろい」と思っています。僕らCRAZYには、すべてにその軸がありますね。ふと原点に立ち返って、ゼロベースで物事を考える。そして「もっとおもしろくできないだろうか?」と思考を巡らせてみる。

「Congrats」は、現在の新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に端を発するものではありません。もちろん、コロナのショックは大きかったです。世相として、外出をしにくくなり、みんながひとつの場所に集まる結婚式なんてもってのほか、という状況に陥ってしまったのは事実。でも、それだけじゃないです。「そもそも”お祝い”ってなんだっけ?」「結婚式って?」という問いこそが、CRAZYの事業の大きな軸です。
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文=三浦 希

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