出資元はアブダビの政府系ファンド
宇宙関連に特化したベンチャーキャピタルのSpace Angelsのチャド・アンダーソンは昨年のフォーブスの取材に、「ヴァージン・オービットの設立を後押ししたのは、アラブ首長国連邦のアブダビ首長国の政府系ファンドのアーバル・インベストメンツ(Aabar Investments)からの資金だ」と述べていた。
アーバル・インベストメンツは、2009年にヴァージン・ギャラクティックの株式32%を取得していたが、その後アーバルはヴァージンに収益源の多角化を求めていたという。
「宇宙ツーリズムは非常に魅力的ではあるが、リスクも大きく収益性も定かではない。アーバル側はヴァージンのテクノロジーを、既に収益性が実証済みの衛星打ち上げ分野で活用するように迫った。それが、ヴァージン・オービットの設立につながった」とアンダーソンは話していた。
ブランソンは累計10億ドル以上を宇宙関連の3社、ヴァージン・ギャラクティックとヴァージン・ギャラクティック、宇宙船の開発に特化したスペースシップ・カンパニーに注いでいる。
しかし、新型コロナウイルスのパンデミックがもたらした財政上の危機により、ブランソンは戦略の見直しを迫られ、5月初旬にはヴァージン・ギャラクティックの株式、最大4億ドル(約430億円)分を売却し、航空会社のヴァージン・アトランティックの経営再建に注ぐと宣言していた。
ヴァージン・アトランティックは5月5日、従業員3150人の解雇を発表した。同社CEOのシャイ・ワイスは「36年前の創業以来、当社は様々な危機を乗り越えてきたが、これほどの損失に直面したのは初めてだ」と述べていた。