ビジネス

2020.05.27

コロナ時代における、ライブの「オンライン配信」の可能性

チケット制ライブ配信サービス「fanistream」


スマホ一つでライブ会場の熱気を届ける『fanistream』


──「同じ熱量を共有できるコミュニティ」として、『fanicon』がさまざまな機能を持っていることがわかりました。ただ、既に『fanicon』内にもライブ配信サービスがあるのにも関わらず、新しく『fanistream』を立ち上げた理由が気になります。

3月11日に、ロックバンド『ACIDMAN』が、『fanicon』で無観客ライブを行ったときのことです。ボーカルの大木さんから「チケットを購入した人だけが観られるライブ配信がしたい」と提案がありました。さらにその翌日、あるレーベル会社から同じことを言われて。音楽関係者の方々がコロナの影響で苦しんでいることを肌で感じたので、チケット代金でアーティスト側を支援できる『fanistream』を開発することにしたんです。



開発にかかった日数は4日間。3月13日には出演アーティストに声かけをし、20日にはサービスを始動しました。また、3月から4月にかけては「サービス利用料・ライブハウス利用料・配信機材・スタッフ」を無償提供する『#ライブを止めるな!プロジェクト』も行っていました。既に13組のライブを配信しており、アーティスト以外にも落語家など様々なジャンルの方が配信をしています。

──サービス始動から2カ月しか経っていないとは思えないスピード感ですね。ただ、「オンライン上でリアルのライブと同じようにライブができるのか」と懸念を抱く方もいるのではないでしょうか。

そうですね。実際、音楽業界関係者のなかにはライブ配信サービスの導入を躊躇している方もいらっしゃいます。しかし、リアルのライブでもオンライン上のライブでも「リアルタイムで演奏をしていること」には変わりないですよね。実際『fanistream』を視聴したファンの皆さんは喜んでいましたし、アーティスト側からも「大きな音を出せて気持ちが良い」「ファンがそこにいるような感覚がした」と、ポジティブな意見をいただいています。

また、コメント機能によりアーティストがファンの声一つ一つを拾える点は、オンライン上でのライブにしかない魅力です。『fanistream』でも、ライブ中にアーティストの目の前にタブレットを置き、コメントを拾えるようにしています。そういえば、先日ライブを配信した『とけた電球』の楽曲には、歌詞の中にファンの方の名前を入れる曲がありまして。今回は、寄せられたコメントの中からファンの方の名前を選んで歌っていました。
次ページ > リアルのイベントとオンライン上のイベントの両立

文=倉益璃子

ForbesBrandVoice

人気記事