また、スウェーデンの人口に占める感染者の割合は、4~7%だという。厳格な都市封鎖を実施したフランス、スペインの割合と、そう大きな差はない。さらに、これまでのスウェーデンの致命率(CFR)は、欧米諸国の平均とそれほど変わらないものの、ほかのスカンジナビア諸国と比べて数倍高く、米国よりも高くなっている。
スウェーデンは人口密度が比較的低く、単身世帯が多く、さらに新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の重症化・死亡リスクを高める要因とされる慢性疾患の患者の割合が低い。こうしたことを考えれば、この致命率は注目すべきものといえる。
何が“有効”な対策か?
ここ2カ月ほどの間、スウェーデンが犠牲にしたものは他国に比べて少なかったかもしれない。それでも同国は、ウイルスとの闘いにおいて優位に立っているわけではなく、経済面で大きな利益を得ているわけでもない。
スウェーデン経済は、ほかの欧州諸国とほぼ同じペースで縮小している。貿易と国際金融に依存しているスウェーデンのような国でリセッション(景気後退)が起きるとすれば、その原因となるのは主に、欧州や世界全体のリセッションだ。
新型コロナウイルスを封じ込めるために厳格な政策を選択しても、比較的緩いロックダウンを行っても、あるいはスウェーデンのようなアプローチを取っても、いずれにしても当面は、重症者の治療方法が確立されることを待つしかない。そして、有効なワクチンが完成するまで社会的距離の確保を続け、衛生面に気を遣い、口元を覆い、接触追跡を続けるほかないということだ。