同大ブルームバーグ公衆衛生大学院が開発した同講座は今月11日、オンライン講座サイト「Coursera(コーセラ)」で開講。公衆衛生対策の中核となる接触者追跡調査の基本原理を教える内容となっている。
受講者の中には、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事が打ち出した大規模な対策の一環として必要とされる接触者追跡調査員を目指す人々が含まれる。
講座は修了時間が6時間ほどで、以下の科目で構成される。
1. 新型コロナウイルスとその感染症の基礎:感染後の症状と感染の基礎など
2. 接触者追跡の基礎:感染者の定義、接触者の特定、必要な隔離期間の計算方法など
3. 感染者の調査と接触者の追跡方法:感染者と接触者に対して追跡調査員が実際に体験する可能性のあるシナリオをプロの役者が再現
4. 接触者追跡の倫理:プライバシーと公共衛生上の配慮の両立や、使用できる基本的技術ツール(テキストメッセージによる確認やリマインダーなど)について
5. 追跡過程での効果的なコミュニケーションスキル:「アクティブリスニング」の方法や、調査時によくある問題への対応など
ジョンズ・ホプキンス大の疫学専門家で、本講座の主任講師を務めるエミリー・ガーリーは「1人か2人の感染を止めるだけでも、結果として多くの新規感染を防ぐことになる」と言う。カリキュラム作成は、伝染病流行対策の経験があるガーリーのほか、リベリアで発生したエボラ出血熱流行の対策の指揮を執ったブルームバーグ公衆衛生大学院のトルバート・ニェンスワらが担当した。
州・準州保健担当職員連盟(ASTHO)によると、米国には現在、約2200人の追跡調査員が存在し、過去にHIVや結核などの感染経路追跡を担ってきた。
しかし新型コロナウイルスが拡大する今、ジョンズ・ホプキンス大の公共衛生専門家らは、米社会を安全に再開するためにはさらに10万〜20万人の追跡調査員が必要だとしている。