テクノロジー

2020.06.02 10:00

サウジもUAEも。なぜ中東で持続可能な「エネルギーシフト」の準備が進むのか


中東では、再生可能エネルギーへの移行は勢いを増し、金融機関にとっても魅力ある分野となっています。マスダールが2013年に、当時世界最大の集光型太陽熱発電(CSP)プラントであったシャムス発電所を開設して以来、太陽熱発電はこの地域で成長を続けています。

現在も、世界最大級のCSPプロジェクトのひとつであるこのプラントは、UAEの再生可能エネルギー容量増加へ道を開拓。近年で特に注目すべきは、ドバイのモハメッド・ビン・ラシッド・アル・マクトゥーム・ソーラー・パークの開発、そしてノア・アブダビ太陽光発電プロジェクトの完成です。UAEの気候はこの技術に最適であり、さらにイスラム金融はこの国にとって特に有用なメカニズムなのです。

エネルギー需要の97%を輸入に頼っていると言われるヨルダンは、2020年までに電力消費量の20%をグリーンエネルギーに切り替えるという野心的な計画を立てています。年間日照日数が300日以上のこの国で、太陽エネルギーは国家のエネルギー産業の投資先として急速に注目を集めています。

「環境にやさしい」金融から「持続可能」な金融へ


中東では、債権の発行元である政府や企業により、持続可能エネルギーへの投資によるチャンスをうまく生かすための準備が着々と進められています。この地域の市場へ参入した多くの企業は、自分たちのビジネスが持続可能な開発戦略へ貢献できると判断しています。例えば、不動産開発業者は、よりエネルギー効率と資源効率の高い建物の建設を目指し、運輸・物流企業も、再生可能エネルギー源や高効率エネルギー技術の進歩の恩恵を受けることができます。

「環境にやさしい」金融から「持続可能」な金融への移行は、究極的にはSDGs達成を促進させることになります。現在のところ、まだ大きなギャップがありますが、金融機関と政府当局は手を取り合い、完全に持続可能なアジェンダを採用することでそのギャップを埋めていくべきです。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Sunil Kaushal, Regional Chief Executive, Africa and Middle East, Standard Chartered Bank

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