2030年までにSDGsの目標を達成するために、新興市場は年間2.5兆ドルの投資を必要としており、その大半は中東に集中していると推定されています。中東には持続可能な開発のための重要な投資先が複数あり、資金の不足額は年間1000億ドル以上と推定されています。2030年までに目標を達成するためには、投資家と銀行が連携し、資金をマッチングすることで持続可能な開発を促進していく必要があります。
中東で次々と立ち上がる再生可能エネルギー事業
中東の多くの国は、予算を賄い、経済活動を支えるために化石燃料に依存しています。規制のハードルが上がることで、より監視が厳しくなり、コンプライアンス基準が高くなれば、生産コストは大幅に上昇。資金調達はますます難しくなるでしょう。
湾岸協力理事会加盟国などの進歩的な国の政府は、太陽光や廃棄物などを使った再生可能エネルギーへの投資を進めています。中東では年中太陽が出ている上、導入コストも安くなってきているため、再生可能エネルギーのコストは今や化石燃料ベースの電力と同等。この地域にとって、太陽は第2の石油なのです。
再生可能エネルギーは、化石燃料からの二酸化炭素の排出を劇的に減らしたり、エネルギーを大量消費する産業の価格競争力を上げたり、また海水の塩分除去の普及を進めたりと、地域の展望を良い方向へ変化させられる可能性があります。スタンダードチャータードのような国際銀行は、各国をつなげてノウハウと支援を提供し、2030年の目標やSDGs達成に向けて大きな進歩を遂げる力を持っています。
2019年、サウジアラビアは280億ドル規模の再生可能エネルギー開発プログラムを立ち上げました。クリーンエネルギープロジェクトや、再生可能エネルギー部品を製造する企業に、融資を行うプログラムです。さらに、サウジ工業開発基金の「Mutjadeda」は、サウジアラビアが石油依存から脱却し、その他の多様なエネルギー源へシフトするために創設されたものです。
他にも最近では、アラブ首長国連邦(UAE)が周辺国と協力し、SDGsの様々な分野に取り組んでいます。例えば、UAEを代表する航空会社であるエティハド航空は、1億ユーロの融資を受けSDGsに関するプロジェクトに資金を投じました。