・中東の多くの国は化石燃料により予算を賄い、経済活動を支えています。
・この地域の進歩的な政府は、太陽光や廃棄物などを使った再生可能エネルギーへの投資を進めており、金融機関に注目されています。
・この地域の市場へ参入した多くの企業は、自分たちのビジネスが持続可能な開発戦略へ貢献できると判断しています。
環境のための資金が使われない「グリーンウォッシング」問題
気候変動への対応が急務となっていることで、持続可能性および環境・社会・ガバナンス(ESG)の実践を事業戦略の中心に据える投資家が増えてきています。規制当局と政府当局の双方が、気候変動による影響の軽減を目指し、国単位で持続可能性の実現に向けた様々な取り組みを始めており、他の様々な機関にも協力を呼び掛けています。
こうした考え方への支持の高まりが、「環境にやさしい」から「持続可能」への転換を促し、完全に持続可能なアジェンダの達成を目指すことに役立っています。また、このような取り組みに投資家や各機関がどれだけ関心を持っているかを測るために、多くの努力が注ぎ込まれています。
金融活動を最大限持続可能にするひとつの方法は、「害のより少ないことを行う」という原則と、「より良いことをするように努める」という原則を組み合わせること。例えば、スタンダードチャータード銀行が議長を務めるエクエーター原則(赤道原則)は、世界中の100以上の金融機関が採用。幅広い環境・社会的基準の実施を求めています。
しかし、コスト増を警戒して、グリーンファイナンス施策の採用に慎重な金融機関もあります。これを解決するには、金銭的な動機付けもひとつの方法ですが、これは持続可能な、長期に継続できるやり方とは言えません。そのため、資本家や投資家は、これらの投資がもたらす無形の利益に目を向けなければなりません。規制当局が、気候リスクに関するシナリオ分析をすれば、その重要性は見えてくるかもしれません。
持続可能な金融という市場全体を覆い続けている最大の問題は「信頼性」です。グリーンボンド市場が誕生して以来、環境活動のためと指定された資金がその通りに使われていないという「グリーンウォッシング」の事例がいくつも発生しています。
持続可能な金融活動として、組織が何を信頼できるとみなすのか明確に定義することが、グリーンウォッシングを回避し、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには重要です。詳細な報告と測定、そして持続可能性に特化した約款により、投資家の持続可能な金融施策に対する信頼を高める必要があります。資金が、目的通りに使われているという根本的な保証として、定量化できる報告も行う必要があります。