スペースXの「宇宙への旅」について知っておくべき事柄

左:ボブ・ベンケン、右:ダグ・ハーリー(Official SpaceX Photos)

スペースXは、5月27日に初の有人宇宙飛行を実施する。イーロン・マスクは2002年に同社を設立して以来、18年間に渡って有人飛行を目指してきた。

「Demo-2」と呼ばれる今回のミッションでは、スペースXの宇宙船「クルー・ドラゴン(Crew Dragon)」がフロリダ州ケープ・カナベラルから打ち上げられる予定だ。搭乗するのは、NASAの宇宙飛行士であるボブ・ベンケン(Bob Behnken)とダグ・ハーリー(Doug Hurley)だ。

米国が有人宇宙船を打ち上げるのは、スペースシャトル計画が2011年に終了してから初めてであり、新たな時代の幕開けとなる。今回の有人飛行について知っておくべき事柄を以下に紹介しよう。

民間企業初の有人宇宙船


民間企業が開発した宇宙船による有人飛行は、今回が史上初となる。スペースXは、NASAから出資を受けて過去10年間クルー・ドラゴンの開発を進めてきた。クルー・ドラゴンを搭載したスペースXの「Falcon 9」ロケットは、5月27日午後4時33分(日本時間28日午前5時33分)に打ち上げられる予定だ。延期となった場合の予備日は、5月30日か5月31日となっている。

目的地は400km上空


宇宙船が目指すのは、地上から約400km上空にある国際宇宙ステーション(ISS)だ。クルー・ドラゴンは、打ち上げから約19時間後にISSに到着する予定だ。通常のミッションと同様に、宇宙飛行士らはISSのクルーとして業務を行う。任務期間中は、既にISSに滞在している宇宙飛行士と共同で仕事や生活を行う。

クルー・ドラゴンには車のようにトランクがあり、貨物を搭載している。7つの座席は全て前向きで、宇宙飛行士らが機体を監視したり操縦するためのスクリーンが付いている。内部にはトイレがあり、“プライバシー・カーテン”も備わっている。

宇宙飛行士の経歴


今回搭乗する2名は、いずれもNASA所属の宇宙飛行士だ。船長を務めるのはダグ・ハーリーで、ボブ・ベンケンはジョイント・オペレーションズ・コマンダーを務める。2人ともこれまでに数回宇宙飛行を経験しており、ハーリーはスペースシャトルの最終飛行でパイロットを務めている。

打ち上げ準備には数年を費やしており、たまたま用意が整ったタイミングで新型コロナウイルスのパンデミックが起きた。NASAとスペースXは、感染拡大の最中でもスケジュールの遅延がないよう準備を進めてきた。2名の宇宙飛行士は、この数週間隔離されており、宇宙空間に新型コロナウイルスを持ち込まないよう、ソーシャルディスタンシングルールを厳格に順守してきたという。
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編集=上田裕資

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